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男はザビィを軽蔑の眼差しで見下した。
「おや、私はてっきりお二人は恋人か何かだと思ったんですが、違うようですね。折角目の前で犯して差し上げようと思ったのに」
「っ俺の女じゃないけど止めろ!!商売仲間に手えだすんじゃねえ!!」
「おやおや、暗殺者がそんな感情的になってもよろしいんですか?」
「うっせえ!!さっさとファイ放しやがれ!!」
動かない手足を無理に動かした所為で傷が開けて来たのも構わず暴れるザビィに、
男は在り来りかつ残酷な選択を迫った。
「なら変わりに貴方が死にますか?そうしたら彼女は助かるかもしれません」
「なん、だと・・・!?」
「どうしますか?
このままだと彼女、ルルシアンに犯されちゃいますよ?」
「・・・ッ」
ザビィと男がこんなやり取りをしている間、
ファイも無理やり体を動かそうと試みたが痛みばかりが走りそのくせ手足は全く動いてくれなかった。
(くそ・・・動け・・・動け・・・!俺の体だろ、動けよ・・・!)
ずきりずきりと鈍く響く痛み。自分の意思に従わない四肢。自分のものが自分に従わないときの、苛立ち。
(何で・・・俺はまだ戦えるのに・・・!!)
いや違う。戦いたい、自分はこんなところで死にはしないと喚き散らしたくてしょうがない。
言葉が吐き出される、其のときだった。
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