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人食生物の触手が一斉にファイに襲い掛かる。
ファイは難なく避けたが後ろから別の触手に右肩を突かれた。ファイの鮮血が舞う。
「・・・糞が」
ファイは突き刺さった触手を切り離そうとしたが歯が通らず弾き返される。
引き千切ろうにも突かれた場所が場所なだけに不可能だった。
そうこうしている内に他の触手がファイの体のあちこちに巻きつき締め付ける。
手にしていた剣も手から離れ床に落ちる。甲高い音が響いた。
「うあっ」
「ファイちゃん!!」
ぎちぎちとファイの体を締め付ける触手の本数は6本ほどだ。手足や首、胴体の骨が悲鳴を上げる。それに比例するかの用に内臓が圧迫され強制的に酸素が吐き出されていく。
「あっ・・・かはっ・・・」
「くそっ・・・」
何も出来ない歯がゆさにザビィは歯軋りする。それを合図にしたかのように不快な声が当たりに響いた。
「ようこそ侵入者諸君!!私のペットはお気に召したかな?」
「「!?」」
上のほうを見てみると白髪の挑発の身なりのいい男がファイとザビィを見下ろしていた。
どうやら楽園側の麻薬商人の頭らしい。
役者気取りなのか、オーバーリアクションで二人を睥睨する様は役者というよりは子供のようだった。
「お前が今回の黒幕か・・・!」
「本来なら答えなくてもいいことですが・・・まあもうすぐ死んでしまうでしょうから特別にお教えしましょうか。ええ、私がこの商売の責任者です」
男は穏やかに笑う。ザビィがぎっと睨んだが動じた様子は無い。
「今まで何回か私達の財を狙って鼠が潜り込んだことはありましたが、たった二人で来られたのは貴方達が初めてです。どうですか?私の可愛いペット、ルルシアンは」
「・・・最っ低だ!!」
「いやいや残念、共感していただけませんでしたか」
「こんな気持ち悪いのに共感できるか!!」
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