双神二重曲奏 | ナノ



6

だらだら歩いていると広い空間に出た。
ザビィも其処にいたが右足と左肩ををやられたらしく横たわっている。

「おい死んでる?」
「辛うじて・・・生きてるかな・・・?」
「・・・ちっ」
「なっ、何今の舌打ち!!?俺死んじゃったら報酬もらえんくなるの君だよ!!?」
「あ」
「あって何あって!?・・・まあいいや、
ファイちゃん気い付けろ・・・例の面白未確認生物・・・ここにいる・・・」
「何?」
「何とか致命傷は避けた・・・ケドこの有様、はは、笑えるね」
「・・・他の雑魚は?」
「食われてたよ・・・お食事タイムに邪魔しちゃったからなあ・・・」
「うわ」
「きもちわるか・・・っファイちゃん後ろ!!」
「!!」

ザビィが叫ぶと同時にファイがザビィを抱え後ろに飛んで回避する。
一瞬後、ファイ達のいたところに触手が炸裂していた。

「・・・コイツだよ人食生物君」
「気持ち悪!!」

ファイの『気持ち悪い』と言う表現は其の生物にはぴったりだった。
薄紫色のぶよぶよした皮膚は透けて内臓や血管や今しがた食われた男の首などが丸見えである。
目は無く、頭部とおぼしき部分には在り来り宜しく裂けた口に鮫のような鋭い牙がお目見えしている。
そして胴体を取り巻くように無数の触手が蠢いていた。

「ファイちゃん俺のこと下ろしてから戦ってね、俺まで巻き込まれんのごめんだから」
「てめえを餌にしてやる」

半ば本気のファイにゴメンゴメンといいつつザビィはファイから離れる。

「・・・っ」
「・・・」

ファイははあっと大げさにため息と付くと、
ザビィに近寄り自分の手を切って其の血で何か描くとザビィの周りに不可視の結界が張られる。

「・・・あんがとね」
「礼を言う前にさっさと其の傷治せ」
「無理」

そう言い放ち、ファイは剣を構え、人食生物と相対する。大きさではファイが圧倒的に不利である。


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