7
それは、ウルガが後ろから全体を見渡すというポジションにいるからこそたまにやってしまう思考で、特に今回は負けた「聖戦」があったからなのだろう。気まぐれにこう考えてはこの世界の意味を飽和させ戦慄する。
この世界から「力」という意味の飽和ーーーーそれはすなわち自分たち存在理由の喪失となる。
思考の中とは言え、こうも簡単に存在理由が消えてしまうのだ。
死んだ教皇とともにこの宗教はいずれ意味という核をなくし風化して消えていくだろう。
その前に、誰かそのかけらでも拾い上げ記憶の片隅において置けばいいと、ウルガは三人が茶番を眺めながら喉に水を流し込んだ。
[ 160/164 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]