双神二重曲奏 | ナノ



6

次の日。
四人は再び同じ戦場で返り血を浴びていた。別にそれは普段となんら変わらずのことなのだが、予想外のことが起きた。
ファイ達と雇用関係を結んでいたほうの宗教が、教祖討ち取られ負けたのだ。もちろん傭兵である四人は負けたと聞いた瞬間その軍から引き上げたのだが、骨折り損という結果に終わった。

「あーくそ!金貰えねえじゃん!」
「でも宝石はぱくったぞ。全部」
「ファイグッジョブ!!」
「もう大好き!」
「でもいくつか寄越せ。気に入った」

がちゃがちゃと大きな麻袋を鳴らすファイにザビィとうっかりフリーズが抱きつく。まんざらでもないファイは小さなルビーを弄びながらふふんと鼻を鳴らしていた。
ウルガはそんな様子を眺めていたが、ふと意味のないことを考える。

(・・・全部、異常だよな)

戦争でも何でも、人を殺して生きる自分達。善悪の基準が曖昧なファイ。裏表の差が激しく、裏を見せればどこまでも冷徹なザビィ。人を救う位置にいるはずなのに奪う立場にいるフリーズ。そして、どこまでも卑怯でいて、それを正義と掲げる自分。
すべては犯罪者というカテゴリーに入る人種であるにもかかわらず、この世界ではそんな異常こそが正義だ。



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