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それから約3時間ほどして。
「おい起きろ」
「んあ?」
ファイの声でザビィは目を開けた。そこには矢張り悪趣味な教会の内装が広がっている。しかし、自分とファイ、フリーズと起されたばかりだろうウルガが残っているだけだった。どうやら、全員帰ったらしい。
「ふわぁーあ・・・にゃによ、もう終わり?俺様まだ寝足りないんだけど?」
「知るか。宿で寝ろ」
「んー、ファイちゃんのお胸様枕にさせてくれたら考える」
「すまん、言い間違えた。今すぐこの場で永眠しろ」
「ごめん、半分冗談」
「・・・もう半分は」
「男の欲求」
「死ね。即刻息絶えろ」
そんな二人の茶番をぼんやり眺めながらウルガはふと、フリーズの動きがぎこちないことに気がついた。
「フリーズ?」
「え!?な、何?」
挙動不審だ、間違いなく。
ウルガはじーっとフリーズを見た。見て、いつもと違うところを見つけた。
ゆったりとした修道服の裾が、膨らんでいる。
そして、天井を見た。
宝石が、減っている。
「・・・お前もか」
「な、にが?」
「宝石、返しとけな」
「何のこと?」
「か え し と け」
「・・・はい」
ウルガは寝起きのためか、非常に珍しい低いテンションでの圧力はフリーズのがめつい金銭欲さえ飽和させる。まったく関係のない話だが、今現在進行形で怖さのヒエラルキーが本ギレのファイ=本ギレのザビィ<黒いフリーズ<テンション低い状態で怒ったウルガだったりする。というのもクールぶっている割に喧しいウルガが沈黙すると否応なしにその場の空気が凍りつくのだ。ファイは無言で行動が喧しいので誰も何も気にしないが。
しかし、そんなに暢気でいられたのは、その日までだった。
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