双神二重曲奏 | ナノ



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元々、混沌《カオス》には信仰の類は一切なかったとされている。それがいつの間にやら、力の強い神やそれこそ本当にその土地しか支配できない弱い神が人間の信仰という心を餌に力をつけるために流行らせたという逸話がある。非常にありがた迷惑だとウルガがため息をついた。
なぜなら、四人が今いるのは煌びやかな教会。装飾が強い空間に、ウルガは居心地の悪さを感じていた。
そして、その空間の一番前には教皇らしき人物が教えを説き、その下には信者がひざまついて熱心に話を聞いている。ふと隣を見てみると、やはり自分の知っているものとは違う教えに興味を引かれるのだろうフリーズが好奇心で聞いており、その隣ではザビィが間抜け面をさらして寝ている。そして、ファイはちゃりちゃりと手の中で装飾品であろう宝石をもてあそんでいた。

(・・・ほうせき?)

一瞬自分の頭の中でファイの行動を整理して、ウルガはファイの手から宝石を取り上げた。サファイアが不機嫌そうに輝く。

「ちょ、おま、勝手に取るなよ」
「別にいいだろ。こんなにある」

そういって天井を指差す。その先には最早悪趣味としか言いようのない宝石だらけの空が出来上がっていた。ウルガはそれをしばらく眺めた後、まあ別にいいなとサファイアをファイに渡した。矢張りこういうところは女らしく、きれいな宝石を与えられたファイの顔はどこかやわらかい。再びちゃりちゃりと遊びだすファイを眺めながら怒られてもしらねーと、ウルガは呟いて寝る体制に入った。



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