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なんて都合の良い殺し文句だろう。なあファッキンモンキー?
いつもより、荒々しい荒野だった。灰色の無味乾燥の大地は血を吸い僅かに赤く色づいて。
「…」
青い双眸が悲しげに歪んでいた。
怒号が飛び交い剣撃が火花を散らし血がなにもかもを赤に染める。それは蒼を象徴するような容姿をもつフリーズも例外ではなく、白い修道服は赤黒く染まっていた。隣にいたウルガもしかりである。
後方支援の二人がそうなのだから前衛のファイとザビィ等酷い色になっているだろう。剣と魔法を交えながらフリーズはそんなことを考えていた。目の前を知らない人間の首が飛ぶ。
何が味方で敵なのか分からないほど辺りは戦いの音が響いている。矢が耳の肉と髪一房を持って行く。その方向にウルガは矢を放つ。矢は、飛んでこなくなった。代わりに飛んできたのはウルガの怒号で。
「戦争中にぼーっとすんな!死ぬぞ!」
そうだ、これは戦争だったと理解しながらフリーズの意識はやはり思考の海を漂い始めた。
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