双神二重曲奏 | ナノ



15

レンドルーア侯の冷ややかな声がウルガの鼓膜を打つと同時に彼の配下の人間達が飛び掛る。それをかわし距離をとると状況は更に厄介な方向へと向かっていた。

ファイを抱いたままのそれと、レンドルーア侯率いる黒ずくめの人間が複数。対するこちらは、ウルガのみ。

「君はなんて事をしてくれたんだい?魔王の宴の邪魔をしてくれるなんて」
「ま、おう・・・?」

ウルガが呆然と呟くと、レンドルーア侯は歌うように言葉を紡ぐ。

「そう、かつて愚かな若者達が消してしまったかの闇の女帝。それが彼女、第666代サタン、マリナス=アリヴェノクライシスなのだよ。あのお嬢さんの胎を借りて再び降臨した」
「っなんでそんなもん蘇らせた!下手すりゃアンタも死んでたんだぞ!?」
「そんなもの?蘇らせた?」

まるでウルガの言っていることが間違えていると言わんばかりの怪訝そうなレンドルーア侯にウルガは何がおかしいと言おうとして・・・やめた。

正確にはレンドルーア侯が鬼の形相で叫び出したので止めざるを得なかったのだが。

「彼女ほど素晴らしい力の所有者はいないでしょう!それに彼女は死んじゃいない、彼女はひとたび眠りに付きそして再誕したのです!!この世界を蹂躙する為に!!」

いかれてる、と純粋に思う。

ウルガは構えを解いて哀れむ目で嬉々として語る男を見た。

「可哀想だな、あんた」
「・・・なんですと?」

それ以上は語らず、ウルガは左肩の生地を引き裂く。
現れたのは深緑を纏う鷲神の刺青。
「・・・貴方は、ライディアノ家の御曹司ですか」
「行方不明か死亡扱いされてるアルヴィッシュ=ウルガ=ライディアノだ」



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