双神二重曲奏 | ナノ



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報酬の高さによりノリノリになったフリーズに無理やり着替えさせられて苛々全開のファイはひたすら暴言を吐き続けていた。
黒を基調としたドレスは胸元が大きく開いており、裾はふんわりしたフリルが踊っている。首にはラピスラズリのペンダントがぶら下がっていた。因みに今回は偵察なのでセイレーンは置いていく。
そして其の隣には白を基調としたファイより少し背の高い女性がたたずんでいた。こちらは対照的に詰襟のドレスに身に纏っている。頭にはレースの付いたハットをつけていた。蒼い髪がハットから覗いている。

完璧に女装したフリーズだった。これにはさしものファイも沈黙する。

「・・・おい」
「何?」
「抵抗無いのか」
「お金のためだよ」

どんな神父だ。 女装をやめてから正装したザビィとウルガが心の中で全力で突っ込む。(口に出さないのは今のフリーズが怖いから)
今までフリーズがお金に対する執着心を見せたことは何度かあった。しかし此処まで度の過ぎた金銭欲を見たことがない。恐らくは−−−

「これで赤字と借金から解放されファイの食費を確保できる・・・フフフ・・・☆」

二人は顔を見合わせる。 やっぱり、と。

「あとザビィの遊郭代とウルガの弾薬代と・・・皆」
「あ、あぁ?」
「はひ?」
(あ、何か大体分かっちゃった・・・)
「絶対成功させよーね♪・・・失敗したらぶっ殺す」

真っ白なドレスに身を包み、家計簿片手に0円スマイルのフリーズは真っ黒オーラ全開だったそうな。



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