双神二重曲奏 | ナノ



2

シャルが死んで、数週間。いや、混沌【カオス】に確かな時間軸はない。感覚的に言うと数週間。
最初は薄らぼんやりしていたファイも振り切ったのか、最近はザビィに暴言を吐きまくっている。それもかなり辛辣に。
それがザビィだけならともかく(ともかく!?)本当に最近ではフリーズやウルガにも容赦なかった。死ねやくたばれは当然のことながら、消えろや殺す等、当たり前のようにぽんぽんと口に出す。シャルがいなくなってから刺々しくなったとでも言うのだろか、とにかく暴言しか言わなくなった。
ファイ自身も、今の自分に戸惑っているらしく苛立し気に傭兵業をこなしていた。どこかに宿を取れば必ず其処は血溜まりができるくらい返り血に塗れて帰ってきた。其のときのファイの目は虚ろ。
そんなファイを気にしてか、ザビィが上記の笑えるのかそうでないのか分からない依頼を請け負ってきたのはつい昨日の話しだ。依頼主はキャルロ=レンドルーアという大富豪のお嬢様。内容は偵察。パーティにて、自分の父親がなにやら怪しい交渉をしようとしている。その内容の解析らしい。
で最初の話に戻るとザビィ曰くこういうことらしい。

『今回のパーティ・・・女の子や貴婦人の方が多くってぇ、だから極力女装してほしーんだけどぉ・・・あ、黄色いアンタはしなくていいわよ。見るからに男だもの』
「結局お前やるなって言われてんじゃねぇか!!」

ウルガの強烈な蹴りがザビィにめり込む。だって・・・と漏らすザビィに今度は弓を向けた。

「ぎゃああ!!ちょ、タンマタンマ!!」
「うるせえ!その腐った頭一遍綺麗にしてやる!!」
「いやいやいやいや!!それ綺麗になる前に死んじゃうわウルちゃーん!!」
「死 ん ど け !!」

ぎゃいぎゃい煩い二人を見てフリーズは苦笑する。其の傍でファイが踵を返すのを見たフリーズは慌てて止めた。

「ファイ?何処行くの?」
「部屋に戻る。後俺その依頼受けないから」

しれっと言ってのけたファイにえええええ!!?と叫んで抱きついたのはもちろんザビィだ。只化粧気があるせいでいつも以上にいやいやとファイは引き剥がしに掛かる。



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