14
「っフリーズ!!何で止めなかった!!」
「っ・・・」
ファイが突進していったのを止められなかったザビィはフリーズに突っかかっていた。胸倉を掴み上げた手は震え、若草色の瞳は爛々と怒りに揺れている。
其の傍で、ウルガとローランがザビィを止めに掛かっていたが感情が爆発していたザビィには届かない。
掴み上げられているフリーズは暫くだんまりを通していた。痺れを切らしたザビィが口を開く前に、ぽつんと、自分に言い聞かせるように言った。
其の目は怒り狂うファイを映して。ファイのそれとはまた違う、緋い目は何かを堪えるように。
「泣いてたんだ。ファイが泣いてたんだ」
「・・・っ」
「止めたら、駄目だと思ったんだ。止めたら・・・」
止めたかったけど、とぽつんぽつんと言うフリーズを話し、ザビィは俯く。痛いほどの沈黙が全員を黙らせていた。それを打ち破ったのは。
ファイが、大蜘蛛を切り裂いて尚、引き千切る音だった。
片腕に天使を抱いて 聖女は 肉を 引き千切り続けた
[ 122/164 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]