12
駆け寄ったフリーズが治癒を施す。それでも傷はふさがらなくて。
「い・・・きて・・・」
「ぇ・・・」
「あな、たが・・・なんであっても・・・」
「もういい・・・しゃべるな・・・」
「ぼくは・・・あなたを・・・師にもてたこと・・・誇りに思ってます・・・だから・・・貴女は・・・生きて・・・」
「喋るな!!師匠命令だ!!」
ファイはシャルを抱きしめる。それでも、シャルは喋る。まるでこれが最期だと言わんばかりに。ファイのこげた頬を優しく撫でて。
「だい、すきでした・・・貴女が・・・とても・・・」
「頼む、しゃべんな、お願いだから・・・」
「戦士として・・・最期を看取ってくれたのが・・・貴女で・・・本当に・・・よか・・・」
優しく撫でた手が、滑り落ちる。閉じた目はもう開かない。
ファイがそれを理解するまで、時間が掛かった。
シャルが 死んだ
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