双神二重曲奏 | ナノ



2

「ッフリーズ君!!」

バァンとドアを破壊する勢いでローランが部屋に飛び込む。

「っ・・・」
「落ち着いてください、傷に響きます!どうしたんですか、まさか敵襲!?」
「残念ながら其の通りだ・・・もう君たちは逃げた方がいい」
「何故!?」

倒れ掛かったローランを支えたフリーズは食って掛かる。もちろんローランがそれで引くはずがないのは実証済みである。

「元々此処のことは君たちには関係なかったことだ!君たちは旅人で傭兵だ、己の命を優先させるべきだろう!!」
「そうですけど・・・でも・・・!」
「でももへったくれもないだろう!意味の無い正義感よりも生きることを優先させろ!」
「そーそ、さっさとばっくれようやこんなとこ」

二人の不毛に続きそうな会話をあっさり打ち切ったのは無表情のザビィだった。
首のチョーカーを弄び、何の感情も無くローランを見下ろす。

「なんで!」
「敵家なんだよ、俺とこいつの雇い主は。だから俺にはこいつらの町やこいつがどうなろうが知った事じゃない」
「だからって町の人を見殺しにはできない!」
「アホか。今しがたこいつも言ったじゃねえか、俺たちは傭兵だ。この町と雇用関係を結んでるわけじゃない」

食って掛かったフリーズさえ淡々と払いのけ、それにとザビィは続ける。
普段の陽気さなど微塵も残っていなかった。

「俺としてはコイツを今すぐ殺しておきたいんだよね」
「!!」

いつの間に持っていたのか短刀の切っ先が、ローランの首を付いていた。微動だにできないローランを見下ろすザビィの目が、煌々と揺れる。
そのときザビィの短刀を持っていた腕が後ろに引かれ、そのままその凶器を奪われ遠くに放り投げ棄てられる。一連の行動の原因はベッドで寝ていたウルガだった。



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