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「ごほっ・・・」
神官の魔法が直撃し、綺麗なものの口から、血がこぼれ出る。こういうときでさえ彼は綺麗だった。
青い髪は返り血で染まっている。それでも綺麗だった。
「てこずらせおって。さて、娘の居場所を吐いて貰おうか」
「・・・誰が・・・言うか・・・」
「やれやれ、ここで言っておけば楽に死ねたものを」
「拷問でも・・・してみるかい・・・?」
「いや、それでも良いんだが拷問より、犯された方のが屈辱だろう?」
「・・・糞野郎」
血と共につばを吐く。
神官のにやけ顔が癪に障ったが、ダメージが大きすぎて体が動いてくれない。
もう舌をかんで死んでやろうとした瞬間、扉が開け放たれた。
舞うは紅金、煌いたのは蒼銀。
「・・・おまえは」
「ファイ・・・?」
『ファイ』は一瞬現状が理解できなかった。
綺麗なものがぼろぼろで、数人の知らない人間がきれいなものを。彼を。
傷、付けている?
「なに、してる?」
「おお、これがかの【ファイアースティレット】か!!」
「なにを」
「美しい!」
「している」
「神々しい!!」
「ファイ逃げろ!!」
「捕らえろ!!けして逃がすな!!」
嗚呼 そうか
「お前らは 敵 だ」
双眸は、敵意と殺意に煌いた。
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