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「でわ親しみを込めてファイと呼ばせて頂きますわ。私の事も是非エイルとお呼び下さいませ」
「そうさせて頂く」
エイルカリアとファイが打ち解けたのに後ろで控えていたシャルはほっとする。
ファイなら気に食わなかったら殴るに違いない。例え相手が女性で神だとしても。
そんな事をこっそり考えていたシャル構わず、ファイは本題を切り出した。
「エイル、あんたがセイレーンを見たいと聞いた。これで間違いないな」
そう言って左腕を持ち上げ、銀色の腕輪を見せる。
「ええ、間違い御座いません。神器【セイレーン】です」
エイルカリアは静かに頷く。ファイは良く見える様にと兵士達が止めるのも聞かずにエイルカリアの側に歩み寄る。敵意と嫌悪がファイの背中に突き刺さったが全く気に掛けていない。
「ああ…数千年経とうともその輝きは変わりませんわね…それに、セイレーンの力も強まっています」
「?どう言う事だ?」
エイルカリアの意味深な台詞にファイは訝しむ。
「ええ…我々神の初代神王、グランド=ファイアースティレット=ヴァルキュリア様の世代よりも強く感じます」
「………ひとついいか?」
今の発言で浮かんだ疑問をファイはぶつけずにいられなかった。
「…セイレーン所持者は…グランドと俺の間に何人いた?」
その途端、エイルカリアから表情が消えた。先程との落差に一瞬呑まれかけたファイに冷ややかな声で疑問が返ってくる。
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