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其処から物凄く離れた場所、古ぼけた教会の祈りを捧げる為の広い部屋。しかし今其処に漂う空気は薄汚れた欲。
力に飢えた神官達に囲まれて綺麗なものは立っていた。
「「 」よ、【ファイアースティレット】は見つかったのか」
「いえ、全く・・・」
「では貴公と共にいた赤髪の娘は何だ?【神器】を渡していたみたいだが」
綺麗なものは内心舌打ちした。彼女だけはこの連中に渡してはいけない。
「さあ?試しに与えただけです。適応しないだろうしすでに天に召されているでしょう」
「妄想だな。もし、生きていれば?」
「それこそ妄想だ、【神器】に適応できる《人間》は存在しない」
「・・・」
綺麗なものは神官の妄想が真実だと知っている。それによる気味の悪い沈黙。それを破ったのは神官の弟子だった。
「例の娘ですが、生存していたようです。【神器】も適応しているかと」
「・・・だそうだ、どういうことか説明してもらおうか」
「ちっ」
綺麗なものは今度こそ本当に舌打ちした。同時に腰の愛剣を抜き構える。
神官達も臨戦態勢に入っている。一人の神官の光魔法が綺麗なものに放たれる。
綺麗なものは紙一重でかわす。余裕が無いからではない。余裕だからこそギリギリでかわした。
「ふっ」
「ぎゃっ!!」
かわした勢いで一人に突っ込んで行く。鮮血が舞うが気にかけることなどしない。
それを切り口に魔法と剣舞が炸裂した。
音がする。これは自分が邪魔なものを壊すときの音に似ている。
「あいつ―――」
『ファイ』は本能的に殺戮が行われていることに気付き走るスピードを加速させた。
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