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「…所で、俺は何日位眠っていたんだ?」
漸くして落ち着いた空気に戻った頃合を見計らってローランが口を開く。
「五日…位です」
「なんだって!?」
フリーズがそう言った途端、ローランが凄い勢いで上体を起こす。そのときにピリッと音を立てて傷口が開いたのだが、それすら気にしていなかった。
「ローランさん急に起きたら傷口が…!」
「そんなことはどうでもいい!!それより五日間だと!?」
凄い剣幕でわなわな震え出したローランにフリーズは恐る恐る問い掛けた。
「あの…何かあったのですか…?」
「何もこれもない!!」
机があったら間違なく叩いている位の勢いでローランが叫んだ。
「書類が!!デスクワークが溜まってしまう!!」
「…自分の命より書類かよ」
ファイがぼそりと呟く。シャルとフリーズも同感だった。
と言う経緯で今病人と言う立場ながらも騎士隊隊長の職務を果たしている。
「あの…休まないと体持ちませんよ?」
「何を言う、しなくては仕事は溜まる一方だ。それに…」
そこまで言ってローランは渋面を作った。まるで注射される前の子供の様に。
「…俺は、デスクワークが苦手で嫌いなんだ、さっさと終わらせてしまいたい」
ぼそりと呟かれた台詞を、シャルは聞かなかった事にした。
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