2
病人がいるとは思えない程ぎゃあぎゃあとうるさい隣室にフリーズは苦笑を洩らす。
目の前には目を閉じたままぴくりともしないウルガが眠っている。
シャルによると、壁に背中を打付けた際脊椎の一部が損傷し、その影響で中枢神経を傷付け神経系にダメージが及んだ。
完治はしているので後は自然に目を覚ます迄待った方がいいらしい。
「…起きるの待てって言われても………」
彼此5日は眠った儘なのだ。心配しない筈はない。
そもそもこうなったのは自分の浅はかな考えとそれによる失態のせいなのだ。罪悪感が波の様に押し寄せる。
その感覚から少しだけ逃げようと眉間に視線がいく。
いつも皺はそこになく、幼く見える。歳よりも上に見える人相に加え自分より僅かながらも高い身長の為、彼が自分より年下だと言う事を忘れてしまう。
こうして見るとウルガは年相応の表情が見られた。
「…19歳、だっけ」
自分より1つ年下でシャルとファイが来るまでは最年少だったのかと今更思う。
「…変わったなぁ…ウルガも」
寝息を立てて眠り続けるウルガをじっと見つめる。
初めてあった時は確か俺が17の時だったなと思い出す。
「……お姉さんを亡くしたって、言ってたっけ」
[ 92/164 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]