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『その怒りその身を焼き その怨みその魂を縛る』
「セイレーン『ソード』」
セイレーンが剣に変わる。今さっきまでの優雅な舞は消えて、彼女が踊るのは、苛烈な演舞だ。
花弁が散る様な可憐さは消えて業火が全てを侵略する様な苛烈さ。
邪神は苦悶の悲鳴を上げ続ける。それに喜ぶ様にファイの剣速は上り、フリーズの旋律はテンポを上げていく。
『身を縛られし 冥き者 地獄に墜ちて尚嘆け』
そして、ピリオドが打たれた。
『『苦楽も亡き常闇へさあ墜ちよう』』
フリーズとファイの舞台が完成した。
拍手喝采の代りに響いたのは邪神の呪の詞。
『覚エテオケ…必ズ…必ズヤ、地ノ底ヨリ這上ガリ貴様ラヲ黄泉ヘノ道連レニシテクレルワァァァァ!!』
「ああ、そうしろよ」
消えゆく邪神にファイの声が冷たく響いた。
「何度でも甦れば良い」
邪神を見つめる白銀が、蒼銀に変わった。
更に冷たさを称えて。
「108殺して109地獄に墜としてやるよ」
絶対零度の声色で負けず劣らずの呪を吐いた。
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