双神二重曲奏 | ナノ



4

フリーズが来るであろう衝撃に堪えようと閉じかけた目を、見開く。










「あ……!」











ファイが飛んでいる。背中には、あの竜見たいなものになった時同様の赤いグラ
デーションの掛かった翼が四枚羽ばたいている。
顔には少し鱗の様なものも浮かび上がっているが、しかし以前のあれのような恐
ろしい雰囲気は全くない。

「ファイ…それ…」
「後で説明してやる、今はしっかり捕まってろ」

そう言ってフリーズを抱き直す。はっきり言ってしまえばこの体制はファイの胸がフリーズの背中に当たるのでせめて手を掴む程度にしてくれと言いたかったが、緊迫した空気が許してくれなかった。
向かって来た魔物を避ける様に上空を旋回する。

「切りがねぇな…」
[あれを使えばいい]
「あれ?」
「…俺の言う事聞くか?」
[大丈夫だ 魂が同じなのだから]

そう言い切ったセイレーンにファイは頷く。何の事かさっぱり分からないフリーズは首を傾げる。
すう、とファイが大きく息を吸う。








「『天命共にせし我が配下よ!!我今此所に汝を召喚す!!答えよ天狐[銀華]!!』









そう叫ぶと同時にファイの右太腿が光り、そこから何か飛び出した。大きな十本の尾をもつ銀色の狐だ。

「…お前は?何故我を召喚出来る?」
「説明は後でする、今は雑魚蹴散らせてくれ」
「…融通聞かせている場合でも無い様だ。…大物は任せたぞ」

言うや否や狐は魔物の群に突っ込んで行く。刹那、狐の全身から迸ったのは、神気に近い、妖気。



「凄い…!」
「…俺もびっくりだ」
[惚けている時間はない 奴を あの自惚れ上がった低級神を 打ち倒せ]




セイレーンの言葉に二人は顔を見合わせる。何をすべきか、分かっていた。



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