3
『クッ…カ、カカレ!!』
その目に恐怖を覚えた邪神は魔物を一斉に襲わせる。
しかしそんなものでファイが仕留められる筈もなく。
「温い」
一言そう言って、飛び上がる。
ファイのいた場所に魔物達の爪や牙が立てられ、抉れる。
その真上でファイは小さく命じたのだ。
「セイレーン、『デスサイズ』」
それに了解したかの様に、刺突剣状だったセイレーンが光出す。光が収まった後、ファイの手の中には銀色の大鎌があった。
それを軽々と振り上げ、魔物の頭部が密集している所へ振り下ろす。頭が幾つか飛んだ。
しかし頑丈なやつもいる様で、半分繋がっているものもいた。ファイは立て続けに命じる。
「セイレーン『アクス』」
斧に代わり、鎌では斬れなかった魔物の肉を斬る。
しかし弾力のあるものには弾かれる。しかも皮膚が厚すぎて刺突剣では貫通出来そうにない。
「セイレーン『ランス』」
斧から槍へ形を帰る。勢い付けて突進し、心臓諸共串刺した。
と、とんで来たのは火球だ。どうやら魔弾を放つ時間はくれないらしい、数体がばらばらなタイミングで炎を吐く。
「セイレーン『アロー』」
弓の形に変わる。しかし矢が無い。
「ファイ…!」
「…大丈夫だ」
フリーズが心配そうに名前を呼ぶがファイは穏やかに笑う。
そんな彼らに邪神は笑う。
『矢モ無ク何ガデキヨウ』
「できる」
そうきっぱり断言したファイは弓を引く。
その瞬間手には黒い矢が出現した。そして、放たれる。
疾風の如く駆け抜けた黒に貫かれ火球の雨を止ませる。
ファイには勝てないと悟った邪神は標的をフリーズに変え、魔物を送り込む。
ファイに圧倒されていたフリーズは、突然の奇襲に対処できない。
そんな彼の後ろにふわりとファイが舞い降りる。
フリーズを後ろから抱き締める様に捕まえると着地した時と同様にふわりと舞い上がる。しかしそれは邪神の計
算通りの動きだったらしい。飛べる魔物を二人に仕向けた。
『終リダ――――――!!!』
「――――――っ!!」
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