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『小娘ェ…何者ダ!!』
己の力を相殺された屈辱に邪神は怒鳴る。対するファイは飄々としたものだ。
「…聞きたいか?どうせ消えるんだから意味ないと思うが」
『貴様…!!』
「…俺の大切なある人は俺を焔と、ファイと名付けてくれた」
自分が言葉を話せる様になった理由が漸く分かった。
セイレーンによって封じられていた、ファイの思い人との時間の記憶。
「…だがな、俺の扱う神器は俺の真名を知っていた」
『…?』
訝しげな邪神と堂々としたファイの視線が、交わる。
「ファイアースティレット=ライア=ヴァルキュリア」
『マサカ…貴様ハ…!!』
「俺もたった今聞いたばかりで良く分からん。…グランド=ファイアースティレット=ヴァルキュリアの子孫兼生まれ代わりだなんてよ」
愕然としたのは邪神だけではない。後ろで聞いていたフリーズも、だ。出来れば外れていて欲しかった自分の推測が現実になった上、生まれ代わりなどとは
『ッ…ハッタリヲ…』
「確証と証拠はないがな…諦めろ、これが真実だ」
もう御託はいいだろうとセイレーンを構えて立つ。
「喰い殺される覚悟はできたか」
白銀の瞳が剣呑に煌めいた。
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