小説 | ナノ


「補習ってちょう楽しいかも」

本来ならば今日は午前授業で早々に帰宅してストファイでもやるつもりだった。だったのだが私は昼飯のメープルトースト(コンビニ産)を食して自分の席についている。白目をむきながら補習ってちょう楽シイカモーとか馬鹿なことを言っている。原因は教壇に立つキモい男教師だ。パリストンめチクショウ。

「苗字さんなんでこんな簡単な問題も解けないんですかあこんなにハードル下げて問題作っているのに学年でレッドポイントつまり不名誉の赤点ですねを獲ったのは貴方とヒソカくんだけなんですよそうして僕は面倒くさいことこの上ないのに貴方だけの為に補習なんかしているわけです」

黒板に、悔しいが綺麗な字でまとめてある要点をごりごりとノートに写す。こいつの言うことはもっともすぎるので本当に頭が上がらない。留年だけはしたくないのでもうどうにもならなくなったらパリストンの靴も舐める覚悟である。くっそなんでヒソカいねーんだよあのビッチ野郎。

「本当に?ほんとに名前はこいつの靴も舐めるの?」
「なんでイルミはここにいるの」
「なんか面白そうだと思って」
「クロロと映画見に行くって言ってたじゃん。3Dの」
「3Dよりリアルワールドで名前がパリストンの靴を舐めてるのを見てる方が面白いよね」

「おーい補修中ですよ」

パリストンの声に

「パリストン 先 生 ね」

パリストン 先 生 の声に補習だったということを思い出すが、ああ、もうイルミが来ちゃった時点で補習どころではない気がするのね。呪文のような漢字の羅列とはもはやさらば、アディオス、ぐっどばいである。レ点?知らん。クロロひとり映画…?いやまさかな、さすがにそれは可哀想だろ。

「パリストン先生、名前もこう言ってるし先生の靴を舐めさせて帰らせてあげてくださいよ」
「そういうわけにはいかないでしょ。一応補習だし。ゾルディック家長男くんは帰っていいけど。あ、苗字さんは、はい、靴、舐めていいよ、帰さないけど」
「舐めるわけねーだろ」

『あ、苗字さんは、はい、靴、舐めていいよ、帰さないけど』『あ、苗字さんは、はい、靴、舐めていいよ、帰さないけど』『あ、苗字さんは、はい、靴、舐めていいよ、帰さないけど』‥‥

「イルミなにそれ」
「録音機」
「…それをどうするつもりだい」
「パリストン 先 生 の取り巻きに高値で売る」
「うわなにそれイルミめちゃ頭いいじゃん!」
「今頃気づいたの?名前ってばほんとお馬鹿さん」
「あははうふふほんと名前ってばお馬鹿さんぺろりん。じゃーねー先生!」

そして私とイルミはクロロとなぜかヒソカと合流して3Dの映画を見に行きました。チャンチャン。


20120715