小説 | ナノ


ガタターン、ゴトトーンと緩やかな揺れに身体を預ける。田舎の、しかも平日の昼間の電車は車両が少ないのに乗車数も少ない。

「鈍行で追い付くかなあ」

ぼんやりと言えば、隣に座っている男三人はあからさまに嫌そうなな顔をする。お前が遅れてきたから電車に乗ってんだろ、と。もっともでござる。
ことの成り行きはこうだ。
今日は宿泊研修で、いつもより早く学校に行かなければならなかったのだが私はすっかり忘れていた。忘れていた上に昨日はどーーーーうしてもジョジョをまとめ読みしたかったので漫画喫茶に宿をとることにした。ケータイは家に置いてきたので、朝、班長であるクロロは持ち主(私)が出るはずのない携帯電話に発信し続けたのである。だからクロロはチョーご立腹。名前なんか置いていこうというイルミとヒソカをクロロがふん縛って私捜索を始め、学年全員を乗せたバスはクロロ班を置いて出発した。ウケる。

「ウケねーよ」
「ていうかイルミさぁカルトくんのお兄ちゃんだし金持ちでしょ。ヘリとか出してよヘリで行こうよヘリコプター乗りたい」
「名前自分の立場とかわかった方がいいよ」

自分の…立場…こんなガラガラな車内なのにヒソカとイルミの間にぎゅうぎゅうに挟まれていて太もも撫でられてるキモい。ヒソカの隣でクロロは時刻表とにらめっこして乗り継ぎチェックしてる目が血走ってるこわい。自分の立場は理解した。なんかよくわかんないけどなんかヤバい。

「到着するまで何発できるかチャレンジしようか◇」
「やだよ!!!」
「車内ハメ撮りとか」
「やだよ!!!オメーら変な病気もってそうだもん!!!やだよ!!!」
「じゃあどうやって時間つぶす?」
「電車って暇だよね」
「クロロはそうでもないみたいだけど」
「お前ら静かにできんのか」


20120607