小説 | ナノ



「名前ちゃんはずるい女だね」

「シャ乱Qですか彰さん」

「相手が聞いてないときに謝るなんてねぇ」

「謝っただけ偉いと思ってくださいよ。それにもう、きっと、私と会話もしたくないんじゃないかなあって」

「それは、どうだろう」

「彰さんは私と話してて煩わしくないですか」

「うん。こうして海を見て美少女と会話するのはなかなかいいもんだ」

「そうですか」

「そうだ。今度、試合見に来なよ」

「バスケットボールのですか」

「そう、そう」

「大体、彰さんはいつになったら私にバスケットボールを伝授してくれるんですか」

「伝授って、君、ねえ」

「他にも、友達ができたら色々やりたいことがあったんです」

「例えば?」

「学校帰りにファストフード店とかファミリーレストランに寄ったりプリクラを撮ったり試験勉強の前には勉強会をしたり自転車二人乗りしたり、ふつうに、ふつうの、友達関係を、築きたかったんです」

「それは俺が相手でもいいの?」

「彰さんは、駄目かもしれませんね」

「ふぅん」

「先輩だし他校だし、なんていうか、でも、友達には変わりません」

「それでも、チャリ2ケツくらいならさせてくれてもいいんじゃない」

「・・・それはもちろん彰さんが漕いでくれるんですよね」

「もち。女の子の後ろなんか乗れないでしょ。暗くなってきたし、家まで送るよ」

「振り落とさないでくださいね」

「・・・名前ちゃんこそ、ね」


20120509