小説 | ナノ


その後、私はウヴォーギンさんにぶん殴られてアバラがほとんどイっちゃったらしい。「死ぬなんてそんなことぬかすな」とぶん殴られました。私が死にそうなんですけど。殴られてから私の意識は白く飛んでいったが、3日後に目覚めればマチさんが応急処置をしてくれたのだとパクノダさんが教えてくれた。パクノダさんは優しい。マチさんも優しい。ウヴォーギンさん、あなたが一番最初に死ぬんですからねふふふ。

「目覚めたかしら」
「へえ、なんとか」
「・・・へえ・・・?」
「でも思ったより痛くないです」
「マチが処置してくれたのよ」

骨もくっついてんのかなー、それはまだか、念糸で補強されてるだけ?ってことはマチさんもこの辺に居るってことか。

「正解」
「あ、私の心、読めちゃってます?」
「少し。靄がかかってるみたいに読みにくいけど、あなたが現れてからのことは見えるようになったわ」
「すみません」
「謝るのはこっちよ。ウヴォーのやつがごめんなさいね。ちょっと熱いやつなのよ」
「知ってます。その件に関しては私にも非があるし」
「……本当に、私たちの未来が見えるの?」
「今から2年後のちょっとの間だけですよぅ」
「2年後に旅団の中の誰か死ぬのね」

パクノダさんは悲しそうに顔をゆがめたので本当のことは言いづらい。そもそも言ってしまってもいいものだろうか。

「名前のこと、疑ってるやつらもいるけど、私は信じてる」
「ありがとうございます」
「団長も」
「え」
「足の甲、見える?」

足の甲?よいしょ、と上体を起こし、言われるがままに足の甲を見てみれば右側いっぱいに黒い蜘蛛が掘られていた。マチさんだろうか。蜘蛛の腹には「4」という数字。

「これ・・・」
「仲間の証よ。名前なら知っているかしら?」

4番。ヒソカの数字。ヒソカは前の4番を殺して旅団に入ったと言っていた。

「パクノダさん、パクノダさんの能力で自分の記憶を弾丸に込めて他人に見せることができますよね」
「そういうことも、知っているのね」
「その能力で、私が死んだとき、今の記憶を、旅団のみなさんに打ちこんでくれませんか」
「あなたが、死んだとき?」
「私が死ぬ時は、殺される時です。私を殺した人が、次の4番になります。ピエロのような長身の男です。きっと旅団の、特にクロロさんの力になる日がきます。でも彼を決して信用しないで、彼はまるで、奇術師」


20120229