小説 | ナノ



「和谷くん」

見たことのある茶髪に声をかけると心地のよい笑顔を向けてくれた。「名前さん、どうしたの」なんて言って。

「さっきまで伊角くんと碁会所に行ってた」

和谷くんは一拍おいてから大げさに声を上げる。

「へえええ!なにそれデート?」

リア充爆発しろーなんて言われたが私は口角だけ上げて笑顔を作った。へへへ。うわっなにその顔きもっと言われたのでグーパンをキめるフリをする。

「デートつーか、伊角くんはおっさんらに取られるし別にそんなんじゃないわな」

「そもそもデートが碁会所とかねーから」

「渋くていいじゃんね、これぞ大人のデートなんですよ和谷くん」

「うっせー片想い」

夕飯は和谷くんが奢りの兆し。



20111013