小説 | ナノ



「はじめまして名前です」

よろしくお願いしますと会釈すれば彼、カイトさんもよろしくと言った。カイトさんの柔らかい金髪はゆるゆると風になびいてとても美しかったのになんとなくその目つきが怖いなあというのが第一印象だった。

「生態系調査ってどの程度やればいいんですかね。さすがにこの森のなか全ては無理ですよね」

発展途上の国から依頼を受けて生態系調査をすることになったが、どうやら雇われハンターは私ひとりではなかった。森の規模はなんとなく頭に入れていたがひとりでは厳しいと思っていたのでその筋では有名なハンター、カイトさんと一緒というのはとてもありがたかった。心強い。

「とりあえず1ヶ月だしなあ。なんなら俺の知り合いを呼ぶけど。ハンターじゃないがそれなりに実力はある」

「あー、助かります。私友達もツテも少なくて」

ケータイに入ってるのも企業関係ばっかりですよとアドレス帳を開いて見せればカイトさんは詰らなさそうに私の可愛くもないケータイをぶん取る。それから何を見たのかはわからないが「ほらよ」と私の手中に返るケータイ。おかえり。

「俺のアドレスいれといたから。何かあったら連絡して」

やわらかく笑ったその表情はなにを思っているのか。可愛そうなやつだなーとかなんかそんなんかも。いや、でも、これは、嬉しい。

「カイトさんさぞ沢山の女性を振り回してきたんでしょうね」

殴られた。




20111012