小説 | ナノ


「メリークリふごっ!」

陽気な三角帽子をかぶったクロロがそれはそれは陽気な呪文を唱えようとした。ので、制裁した。喰らえ、私のジャジャンケン!え?なに?パロパロ?知らんわ。ジャンケン、グー!正!義!完!了!

「クリスマスを祝うすべての人類を呪い殺す、それが今日の私の使命」
「醜いぞお前」
「クリスマスひとりぼっち、略してクリぼっち!そんな言葉が拡散し浸透してしまうほどにクリスマスとは悲しいもの!それをキャッキャ騒ぎ立てる奴らほど冷酷な生き物はいない!私は戦う!冷酷な奴らと!」

クリスマスだからって浮かれた帽子をかぶって登校したクロロなんか本当に許せない。本気とかいてマジと読むよ。おこだよ。
熱弁しているとイルミに椅子を引かれて尻餅をついたけど負けない。私、負けない。今日ばかりは負けてられねえ!

「イケメンども滅びろ!」
「なんなのこの子、いつにも増して荒れてるね」
「クリスマスだからだと」
「ああ……」
「かわいそうなものを見る目で見ないで!クリスマスだからって予定がなくてカルトくんに愚痴ったら小等部のクリスマスパーティに誘われた私の気持ちなんて誰にも分からないだろ!憎い!手をつないで歩いているアベックが憎い!」
「名前アベックに対する憎しみが人一倍強くない?その熱意をちょっとは勉強に回せばいいのに」

可哀想なものを見るような目で見やがる。えーん。もう本当に泣くぞ。クロロもイルミもヒソカも顔だけはいいからこういうイベントごとはマジで強い。クリぼっちとは無縁な奴らで私はもう本当にクリぼっち。はなから友達も少ないし。小等部のクリスマスパーティに行くしか無いんか、私は。

「メリークリふごっ」
「正!義!完!了!」
「ヒソカおはよう」
「どういう悪戯なんだい子猫ちゃん?」

思いのほか私の拳がイイ所に当たったようで鼻血が滲んでいたヒソカになにも悪いとは思わない。クリスマス祝ってんじゃねえ!呪うぞ!

「ああ、なるほど!クリぼっちか◇」
「うるしゃいよ!イルミネーションぜんぶイルミの顔にしてやろうか」
「愛の告白?」
「めでてえ頭をざんばらに仕上げっぞコラァ!」
「モミの木を処刑台に見たてて磔キリストの刑に処されたいわけ?名前は?え?」
「ぐぅううぅ…」

結局イルミに強く出れない自分が憎い!それ以上にクリスマスというイベントに乗じてラブラブしているカップルが憎い!イルミネーションって奴らの熱量で煌めいてるんじゃん?きゃっきゃにゃんにゃんするために自家発電してるんじゃん?くぅ〜憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!

「そんなに憎まなくても。ね、例年通り可哀想な名前にケーキ買って来たよ、1ホール。サンタ付き◇」
「ヒ、ヒソカ…!」
「サンタ帽、名前の準備しておいたぞ」
「クロロ…」
「クラッカーもある」
「イルミ!」

イルミが取り出したのは爆竹だったけど、それでも私はとても感動した。泣いた。う、嬉しい!友達とだけど、ぼっちじゃないクリスマス!クリスマスに乾杯!
みんなで爆竹に火を付ける。

「正!義!完!了!」




20131231
遅くなりましたがメリークリスマス。
そして一年お世話になりました。来年もゆっくりイルミ劇場をよろしくお願いします。
ちなみに正義完了はスーダンネタですすみません。