小説 | ナノ


※すこし猥褻




秋である。
肌寒い季節である。
そんな中、我々は屋上で着衣セックスをしている。うん。寒い。

「……イルミさぁ」
「うん?」
「まじ体力ないよね」
「こんなことしてるときにソレ言うわけ?」

こんなことしてるときっていうか、あえてというかわざとというか、こんなことをしている最中だから言うのだ。というかこんなことも終わったのだ。

「早漏つーか、ヤる気がないっつーか。体力と関係ないなら枯れてんじゃね、」

と、ここまで言ってから外気だけの寒さだけじゃない寒気に気づいた。
ぐぷ、と私の中から抜けていくイルミのちんぽの感覚に体を振るわせて、それから体が飛んだ。びっくりした。それからジワジワと押し寄せる痛みで、ああ私イルミに殴られたんだと気づいた。それと同時にイルミのこの怒りがいつもの戯れでの怒りではないことに気付く。まじおこってやつですか。

「イ、イルミ。ごめん」
「今日はもう帰るから午後の授業テキトーに誤魔化しといて」

イルミの表情はいつも通り無表情で、ズボンの前をなおしながらそう言って屋上の扉が閉じた。
バタンというその音はあんまりにももの悲しかった。悲しいついでに木枯らしが吹く幻聴すら聞こえる。あ、私が悲しいのね。



「つーわけでイルミは帰った」

クロロとヒソカに言えばクロロは真っ赤にして「バカじゃないのかお前は」と言いヒソカはにこにこしてるだけだった。

「謝ったんだけど帰った。イルミ怒ってると思う?」
「さァ?男の名誉に関わることだからね◇あのイルミでも傷心してるんじゃないかなぁ?それは面白いねワクワクするね!」

慰めに行こうかなと涎を垂らすヒソカ消えろ。こんな奴らに相談した私が間違いだった。こんな奴らしか友達がいない私の人生は恥の多いそれでした。はぁあああぁあ。ため息。
そもそも私は間違ったことを言ってはいないんだ。イルミは体育会系ではないし部活も入っていない。体育祭はサボるし私とするセックスは私がイルミの上に乗って動く。イルミがヒソカとアナルセックスをするときはイルミが組み敷かれてヒソカがバカみたいに動く。イルミは一回射精すれば満足するみたいで一人放置されたこともあるし寝ていることもある。体力がないとかまじそういうレベルじゃないんだけど、だから私オブラートに包んで言った方だと思うんだけど。それでもイルミを傷つけてしまった(多分)。違うんだけどさーうーんでもやっぱ違くない?か?イルミとの体の相性は悪くないと思うんだよ、もっとイルミとセックスしたいっつーかなんつーか。だからイルミに頑張って欲しかったんだ。

「おい苗字授業始まってるからな」



それから一週間イルミは学校に姿を見せなかった。そんなに怒ってるのかよ。イルミのいない学校とかけっこう退屈でクロロとヒソカで遊んたり休み時間にカルトくんの教室にいってカードゲームをしたりしたけどそれでもやっぱり悔しいけれどもイルミにしか埋められない寂しさがあった。イルミ……。

「うえ〜〜〜久々に学校いきたくねぇ」

行きたくねえ行きたくねえと思っていれば足を踏み外して側溝にハマって転んだ。うわ。無理。絶対これグキッていったもん。捻挫。絶対捻挫。絶対運命黙示録。

「名前じゃん。なにしてんの」
「もくしやみ」
「は?」

そうして一週間ぶりにイルミとの再開を果たした。倒れた私をイルミがおぶってくれているなう。

「イルミごめんまじごめんほんとごめんごめんなさい」
「うるさい投げるよ」
「イルミがいない学校とかつまらなさすぎて爆発するかと思った」
「……それはどうも」

それから会話はなかった。久々に会ったイルミの機嫌を下手に悪くしたくなかったのだ。おんぶして貰ってるし。
昇降口にたどり着いたときに「保健室行く?」と聞かれて二回縦に首を振った。

「イルミ怒ってない?」
「うん別に」
「一週間なにしてたの?」
「……あ、せっかく保健室に行くんだから試してみようか」
「え?え、なにを?」
「俺に体力がないかどうか」

イルミは口元だけで笑った。
もしかしてイルミは相当気にしていたのではないだろうか。私の上でネクタイをほどきシャツのボタンを緩めるイルミに恐怖と興奮で身が震えた。
一週間禁欲しながら鍛えたであろうイルミの体はとても素晴らしかった。



20131201