小説 | ナノ


「なにそいつ」

イルミがそいつ呼ばわりしたのはカルトくんです。なにと言われても、きっとその答えはイルミの方が明確に答えられると、思うの、です。

「この子はカルトくん。イルミ、あなたの弟ですよ」
「知ってるよ馬鹿」

ば、ばかって!イルミが聞いたんじゃん!ばかっ!

「そういうんじゃなくて、なんでカルト連れてきたの」
「え、だってカラオケ来たことないってカルトくん」

あ、イルミ、不機嫌そうな顔。
今日は授業が終わりーの、イルミとカラオケに行く予定だったのだが、ちょっくらトイレに行って昇降口でイルミを待たせている間にとぼとぼ歩いているカルトくんに遭遇したのだ。どしたー今日もひとり下校かー寂しいなーはははーと言ったら「そうだけど、なに」と寂しい返答が投球されて、私もうデッドボールで、なんか拾ってきちゃった。私の涙がちょちょぎれた。

「大体さぁカルトも高校生男子が女子高生とふたりでカラオケに行くっていったらセックスするに決まってるじゃん」
「決まってないよ!!!!カルトくんこんな男の言うことなんて聞かないで!!!!」
「ちょっとは気を使ってくれてもいいと思うよ弟なら」
「イルミは遠慮を覚えようよ」

私が慣れないつっこみにいっぱいいっぱいになっていると、カーディガンの裾をくいと引かれる。
夏でもカーディガン常備は女子高生の基本である。非常に暑いがボディーラインを気にしなくていいし、そのぶん脚を出して腕を出す。ぺちゃぱいも胃下垂もきにしなくてもいい魔法のアイテムだぼだぼカーデまじ最強。

「名前さん名前さん」
「なーにー」
「セックスってなに?」

なんだってー!
そうか小学生ってまだそういうの習ってないの?流石にキャベツ畑とかコウノトリとかは駄目か?ちゃんと教えるべきなのか?おしべとめしべがアッハーン?しかしそういうのは親御さんがおしえるべきなのでは?
はっ!!
イルミ!!

「え、ねえ、イルミ、私、なんて言えばいい…?」
「その辺の男てきとうに誑かして実践すればいいんじゃない」
「よくないようわーん」

こんな純粋そうな子に、私は、何をどうすれば……エロ本を買い与える?いや、まずはリアルよりもアニメとか?同人誌?的な?

「名前そんな悩まなくていいよ。セックスくらいカルトも知ってるから」
「なんだと」
「ネタばらし早いよ」
「名前であそんでいいのは俺だけだよカルト」

まあそのあとは仲良く3人でカラオケに行ってカルトくんの恋の奴隷に聴き惚れました。
翌日、ビスケ先生に呼び出されて生徒指導室に行けば「不純異性交遊は禁止なんだわさ」と言われた。昇降口って人通り多くて嫌ねー


20120723