ずっと



「〜〜♪♪〜♪」

昼間の水辺で一人、星女神の巫女アルテミシアが鼻歌を歌い気持ちよさそうに風を感じている。周りには小動物一匹の気配もない。

「今日はいい天気………夜には綺麗な星が見えそう」

幸せそうに空を見て笑っていると、後ろからアルテミシアの友人、オリオンが水辺に石を投げ、アルテミシアは波紋に気付いて後ろを振り返り、オリオンの姿を見てはにかみ、自分の隣に来るよう手招きをする。オリオンはアルテミシアの隣に腰を落とす。

「ここにいたんだな。バカエレフが探してたぞ。ミーシャミーシャって」

「あら本当?何か用事があるの?」

「いや、ただミーシャの近くにいたいだけの病だ」

オリオンはミーシャ結婚出来ないなと笑い、アルテミシアはそうね、エレフも出来ないわねと楽しそうに笑う。

「ミーシャに好きな奴とか出来たらあいつどうするんだか……ミーシャ満足に恋愛出来ないな!」

「ふふ、そうね………………でも、それでも構わないわ」

オリオンはアルテミシアの返答に何でだ?と首をかしげる。

「私は今がとても楽しいの。だから恋愛とかは考えてないわ。今、エレフとオリオンと、レオン兄様たちと幸せに過ごせて………いつかはスコルピオスさんとも………」

「………よくそんなこと言えるな、あいつはお前を生け贄にしようとしたんだぞ」

オリオンは少し不機嫌になり声に怒りを含む。そんなオリオンとは対照的にアルテミシアは優しい声で話を続ける。

「でも、エレフが助けに来てくれた。Moiraに従おうとした私の目の前に、Moiraに抗ったエレフが……………」

アルテミシアがヒュドラへの生け贄に捧げられる少し前、アルテミシアの双子の兄、エレフセウスが駆け付け、スコルピオスと争いを繰り広げ勝利し、アルテミシアを救った。

「そして、自分たちがイサドラ王妃の子供だということを知り…血縁の兄がいることもわかった……デルフィナ母さんたちの命は彼らが奪ったけれど……それもMoiraが定めた事…………エレフにも憎しみを忘れ、新しい人生を歩もうと言ったら、理解してくれたわ」

「お前たち兄妹仲良いしな、はたからみたら昔から一緒にいるみたいだよ」

「そう?よかった…」

安心したわと笑顔になるアルテミシアを見てオリオンも自然と笑顔になる。

「……オリオン、あなたは今、幸せ?」

「俺?俺は今幸せだよ。毎日楽しいし、俺自身も王家の奴らとは仲はいいし。弓もやりがいあるしな」

「オリオンは昔から弓が得意だったものね。風の都から逃げる時の術、きっと一生忘れない」

「オリオン流弓術の真髄だからな!あれを生で見れたミーシャは幸せ者だよ」

「ふふ、そうね、私は幸せ者だわ。大好きよ、オリオン」

オリオンの肩に寄りかかり目を閉じるアルテミシア。オリオンは少し頬を染め、しばらく黙った後、何かを決心して口を開く。

「あのさ………ミーシャ……」

「なあに?」

「………俺も、今、お前ら………ミーシャと過ごせて、とても幸せだ…ミーシャは、いつも…優しくて、可愛いくて……綺麗で……その、だな……そんな、ミーシャを……見てるうちに…………俺は………ミーシャを………」

アルテミシアの反応が無いことに気付き、顔を覗き込むと、可愛いらしい寝息をアルテミシアはたてていた。

「………寝たのかよ………………こういう抜けてるところは、変わってないな」

オリオンは周りに誰もいないのを確認し、アルテミシアの唇に自分の唇を重ねようとしたその時………

「オリオン、何してるんだ?」

「何ってミーシャにキス………!?」

自分の背後から声がかかりそれに反応して答えたあとバッと振り返えるとアルテミシアの兄、エレフセウスがたっていた。

「そうかミーシャにキスか。キスか。キスか。………キス……」

エレフセウスは持っていた黒い剣を装備する。オリオンは命の危険を感じ、エレフセウスからかなりの距離を取る。

「オリオン、アーディオだぁああああ!!」

「殺す気かバカエレフ!」

「俺のミーシャにキス未遂なんぞ命で償えぇええ!!!」

エレフセウスはオリオンに向かって黒い剣を飛ばした。

「おーい、みんな、母上がお呼び!?」

サシュッと何かか切れる音がした。オリオンの後ろには三人を呼びに来たレオンティウスがいた。先ほどの音は黒い剣を避けたオリオンの後ろにいたレオンティウスの髪が切れる音だった。レオンティウスの前髪が全てなくなっている。

「……………エレフ」

「………」

レオンティウスは俯いてエレフセウスに声をかける。エレフセウスは笑いを必死に堪えているが結局堪えられず大爆笑をする。オリオンはどうすることもできなく二人を交互に見る。レオンティウスは槍を取り出しエレフセウスを追い掛ける。エレフセウスは逃げ、黒い剣を取り、オリオンを追い掛ける。オリオンは必死に逃げている。

「ん………」

寝ていたアルテミシアも騒ぎに気付き目を開け現状を見て驚く。そしてレオンティウスの前髪を見てエレフセウスと似たような顔つきで笑う。

「みんな、楽しそう」

走り回ってる三人を見て、アルテミシアはとても幸せな気持ちになった。

「私も混ぜてー!」

後ろからエレフセウスに抱きつきエレフセウスはバランスを崩し、ふぎゃっ!と間抜けな声を出し倒れてしまう。三人はその声に笑い、エレフセウスは顔を赤らめる。

「ふふっ、エレフったらお馬鹿さん」

「ミーシャが、ミーシャが上に乗っかってる……ミーシャ……」

「エレフ、気持ち悪いぞ…」

「ブサイクでキモいとか終わってるな」

「はぁ!?人のこと言えねぇだろ!」

「みんなかっこいいわよ」




アルテミシアは自分の大切な人たちのくだらない会話を聞き、この幸せがずっと続きますようにとMoiraに祈った。



Ende




――――――――――
幸せMoira!!オリオンがミーシャに片想いエレフは安定のミーシャ厨。みんな大好きだ…!!レオン兄様前髪ごめんね☆私はスコピーが大好きです。大好きです。いつかはスコピー出そう…!オリオンの性格行方不明だ(・ω・`)なんか文まとまってないとこあるのは気のceuiじゃない…

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