童話乙女たちの戦話
2/14……乙女達の戦いの日………
SH学園の童話組の8人の乙女たちはヴェッティン家のキッチンで奮闘をしている。
一番荒れている少女、雪白姫。
「なんでチョコ減るのよ!?焼くわよ!?」
「あははっ、雪白ちゃんチョコ強く切りすぎて回りに飛び散ってる」
てとりあしとり一から雪白姫にチョコの切り方の手順を教える井戸子。
「メールーメルーメールルー♪」
「わぁ…エリーゼちゃん、メルヒェンさんの顔の形のチョコ上手」
「アラ?シスターダッテアノ兄妹ノ名前入リチョコ上手ヨ?」
少女人形のようなエリーゼは愛しいメルヒェンのためにチョコ型を作り、その隣には家族のために名前入りチョコを作るシスター。
「タバスコを入れてー…」
「!?野ばらちゃん!何してるの!?」
「タバスコって赤いイメージがあるから王子様のためのチョコに……」
「タバスコなんかだめ!チョコレートにはそんなに入れなくていいのよ」
タバスコをチョコにいれようとする野ばら姫。
それを制止するエリーザベト。しかし野ばら姫はエリーザベトが見てない時にタバスコ一本分をチョコレートに入れて幸せそうに笑っている。
「チョコうめぇだぁ…」
「こら、盗み食いしちゃだめよ?」
「おら腹すいてよ………なんか、先妻のチョコ酒くせぇだ……」
「だって、ブランデーを……って!私のチョコ食べたのね?」
ぶらん子は舌を出し、旨そうだったからと笑い、先妻は渋々、新たにチョコを作り始めた。
8人の乙女たちはそれぞれ2/14にあげる人たちのことを想いチョコ作りに励んでいる。
「やっぱ井戸子ちゃんが一番上手だね」
「そんなことないよ!毎日作ってたら慣れちゃう慣れちゃう!ファーティに低能だなんて言わせないくらいのチョコ作る!」
「雪白ガ一番酷イワネ!変態王子ガアンタノチョコ食ベタラ死ヌンジャナイカシラ?キャハハハ!」
「わ、悪かったわね!?メルヒェンだってそんな甘い甘いチョコ食べるかしら!?ハチミツ、リンゴ、水飴、砂糖………甘ったるいたら!」
「甘イホウガ美味シイノヨ!ワカッテナイワネ!コレダカラ変態王子ニ相手ニサレナイノヨ!」
「なっ…!ちょっと!それはないんじゃないの!だいた「ストップ。喧嘩してる時間あったら作らないと。バレンタインデーは明日よ」
先妻の仲裁でエリーゼと雪白姫は口喧嘩を止め、チョコ作りを再開し始める。
「ぶらん子ちゃん、それ、何?」
「レバー。ベッティも使うべ!絶対メルツ喜ぶだ「いいえ、私はいいわ」
きっぱり断り、レバーの生臭さに鼻を押さえ、四角く切り取られたチョコをエリーザベトは装飾する。
「やっぱり次はニンニク……ううん、とうがらし……ああ!どうしたら王子様喜んでくれるかしら?」
野ばら姫のチョコには絶対入れないものの単語にシスターは不思議そうな顔で野ばら姫を見つめ、冷蔵庫にチョコを入れ、水を飲み一息つきまわりを見渡す。
「じゃっじゃーん!ファーティ大好きチョコ完ceui!」
井戸子がクリスマスケーキのようなチョコを頭上にあげ、完成に喜ぶ。
「スゴイジャナイ!イドガ可愛イク砂糖菓子ニナッテルワ!」
7人は井戸子のチョコを見て拍手をする。
「砂糖…さとう…さといも……いも…!」
野ばら姫は笑顔で芽が出ているじゃがいもを丸ごとチョコに入れ、そのままハート型にチョコを流し込み、冷蔵庫に入れて、余ったじゃがいもを見つめている。
「ヨシ!出来タワ!フフ!メルッタラ泣イテ喜ブワ!」
「あら?完成?上手ね」
エリーゼも完成し、先妻にメル喜ブヨネ?と笑顔で聞き先妻は自信満々に頷いて、エリーゼの頭を撫でる。
そうして個人のチョコが完成して、渡す日、2/14。
学校の放課後………
「はい!」
「………これは、なんだい?」
「何のボケ?チョコに決まってるじゃない!両手にチョコ袋持って………」
たくさん生徒がいる廊下で雪白姫は乱暴に青王子にチョコを渡し、青王子はおそるおそるチョコを貰う。周りには青王子の取り巻きたちがいて、雪白姫を睨むが、雪白姫は睨み返し、青王子を見つめる。
「……毒、とか入って「入ってないわよ!酷いっ」
「ああ、すまない、冗談だよ。ダンケ」
雪白姫の額にキスをして、優しくはにかみ、周りの取り巻きたちが悲鳴に近い叫びをあげ悔しそうに雪白姫を見ている。
雪白姫は大事に食べてよと嬉しそうに笑い、他の女から貰ったチョコ捨ててね?と可愛いく首を傾げた。
「「はい、メル。チョコよ(ハイ、メル。チョコヨ)」」
「「あ、ダンケ……」」
今ここにいる4人しか部員がいない復讐部でメルヒェンとメルツはチョコを握りしめ感動をする。
「ネェ!メル食ベテミテ!」
「メルツ、食べてみて」
「じゃあ、いただきます」
「僕も」
メルヒェンとメルツは同時に食べて、美味しい、とまた同時に笑う。
「ヨカッタァ!頑張ッタカラネ!」
「ああ、美味しいよ。エリーザベトのも美味しいかい?」
「すごくおいしいよ。はい」
メルツは少しエリーザベトからもらったチョコをメルヒェンに渡す。
「………!すごく、美味しい…!この甘甘しくなく、すんなり舌に溶け込むような味!ほどよい温度!そしてこの色合い!全てが「メルキャラ変わってるよ」
エリーザベトがクスクス笑ってる隣、エリーゼが膨れっ面をしてメルヒェンを見つめる。
「何ヨ!甘甘シクテ悪カッタワネ!メルノバーカッ!!」
エリーゼが走ってどこかへ行き、メルヒェンは謝りながら、エリーゼを追い掛ける。
「エリーザベト、どこかお茶しに行こうか」
「ええ、そうしましょう」
メルツたちはエリーゼたちのことなど気にせず、手を繋ぎカフェへ向かっていった。
「ちょっとあんた、何よこれ」
「チョコレバー。女将さんレバー好きだって言ってだから!」
学校帰り2人で焼肉屋へ向かう最中、ドヤ顔でチョコレートを渡し自信満々に言うぶらん子に女将は呆れる。貰ったチョコレートからはレバーの匂いが漂っている。
「馬鹿ね!チョコに入れたら不味いに決まってるじゃない!ちょっと、一から作り方教えてあげるわ!今日行く予定の焼き肉は無し!」
「ええ!それはねぇだよ!おら、焼き肉のためにチョコを…」
「うるさいわねぇ!ほら!うちに帰るわよ!」
「やーきーにーくー」
女将に連れてかれ、レバーチョコを食べながら黒狐亭へぶらん子は帰っていった。
「ハッピーバレンタインファーティ!」
「巨乳美女!」
「きゃ!」
自宅に帰り、井戸子がイドルフリートに抱きついてチョコを見せようとした瞬間、イドルフリートは立ち上がり、井戸子は地面に顔をぶつけ、チョコを胸元で潰してしまった。
「あああああ!チョコが!チョコがああ!」
「うるさいぞ、低能!って、何故まな板にチョコをつけている。萌えん」
何が起こったかわからないイドルフリートは井戸子の胸元を見ていると井戸子は大号泣をする。
「うああああん!ファーティのために、作っ、た、チョコ…潰れちゃったああ!」
「は、チョコ………?……今日は、バレンタインか……………チョコを潰したんだな」
イドルフリートはやっと事態を理解する。泣いてる井戸子の頭を撫で、地面のチョコを食べる。
「ファーティ!汚いよ!病気になるよ!」
「ええいうるさい!私が食べたいんだ!」
イドルフリートは旨いと繰り返し地面のチョコを食べていく。
「ファーティ………」
井戸子はイドルフリートに抱きつき、また作るねと笑い、勝手にし給えと少し嬉しそうにイドルフリートは笑った。
「わぁ!すごい!」
「ありがとうお姉ちゃん!」
「ダンケ、2人のために頑張ったの」
学校から急いでお菓子の家に帰ってきたシスターがさぁ食べてと言おうとした瞬間、ヘンゼルとグレーテルは、お菓子の家に貰ったチョコをくっつける。
「え…?」
「これでお菓子の家がさらに強化された!」
「やったね!トムにも自慢しなきゃ!」
シスターは自分の作ったチョコがただのお菓子の家と同化してるのを見て、この子たちにはもう手作りなんかしないと心に誓った。
「先生、今日はなんの日か知ってます?」
「知らぬ。何かあるのか」
「ふふ、はい、これ」
先妻は自分の想い人の担任、青髭にチョコレートを渡す。
「なんだ、チョコレートか。………今日はバレンタインデーか」
「ええ、昨日みんなで頑張りました」
「…………茶を出せ。食うぞ」
「はい、先生」
青髭は嬉しそうに貰ったチョコを見つめている。
「……実はあのチョコ、媚薬的効果成分入ってるのよ」
学校の家庭科室で一人クスクス笑い、お茶の後の営みに期待をしながら、お茶を青髭に出した。
「どう、ですか………」
「…………」
2人っきりの教室、夕陽が差し込み2人を照らしている。
赤王子は野ばら姫のチョコを食べ、固まる。笑顔の儘。
「……美味しい、ですか?」
「…………」
固まった儘。
「やっぱり……美味しくないですか……」
野ばら姫が悲しい表情をするやいなや、赤王子は美味しい!と大声をあげる。
「何言ってるんだい!僕の野ばらが作ったチョコが不味いわけないさ!もっと食べれるよ!」
「まぁ嬉しい!もっと食べて!」
赤王子は青ざめた笑顔でチョコを食べ続け明日は腹痛だと覚悟しておかわりを頼んでいた。こうして8人の乙女たちのバレンタインは幕を閉じた。
体に何らかの変化を持った人も何人かいたそうな………
Ende
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初投稿です。しあと申します(・ω・´)読んでくださってだんけしぇーん!!バレンタインとか何ヵ月先だよとか思っちゃいけません←これからも少しずつ更新していきます、よろぴこ☆
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