名前を呼んで!



SH学園イベリア組。窓際の一番後ろの席にいる女子生徒、ライラは前のほうの席に座っている2つ隣の先輩、シャイターンを見つめる。

「シャイたーん……」

ライラはシャイターンに恋心を抱いている。それはクラス全員が知っていて、シャイターンだけが知らない。

キーンコーン……

授業終了のチャイムが鳴る。ライラの親友、エーニャがライラを後ろから抱き締める。

「なーに辛気臭い顔してるの?またシャイターンくん?」

「うん…」

「何?なんかあった?」

「ただ、シャイたん大好きだなぁって

「………うん」

「なにその反応!」

「ねぇライラ、購買行こう」

「え、無視?」

ライラはエーニャに無理矢理購買まで連れていかれた。先程話していたシャイターンの視線を浴びながら。

「シャイターン、ライラ見すぎだよ」

「うるさい見てない」

「ライラのことだいすk「うるさい燃やすぞ」

シャイターンは手に持っていた消しゴムをラミレスの口の中に無理矢理突っ込む。

「………」

シャイターンは苦しむラミレスを放置し、ライラの席を見つめる。







そう、この二人は両想いなのである。クラス全員、むしろ担任のサァディまでが気付いているのに当の本人たちは何も自覚していない……今から語るのは話は、そんなもどかしい二人の可愛いお話……






ライラは今日の授業が終わり、靴箱で靴を履き替えシャイターンの靴箱を見つめていると後ろから声がかけられる。

「あ、シャイたん!」

「これから帰りか?」

「うん。シャイたんも?」

「ああ、一緒に帰っていいか?」

「あ、うん…!」

ライラは笑顔で返事をする。それにシャイターンは内心抱き締めたい衝動に駆られた。

「今日はエーニャはいないのか?」

「!…あ、うん」

「そういえば追試があると言っていたな、君は大丈夫なのか?」

「…大丈夫だよー」

二人は校門を出て歩きだす。ライラは少し不機嫌になり、口を開かなくなった。

「追試といえば、サランダはいつもクラストップですごいな、あいつら姉妹だとは思えない」

「エーニャは頭脳より運動派だからね」

「君はどちらかと言うと…運動なのかな?」

「そうかもねー」

ライラは更に不機嫌になり、シャイターンはそれに気付き、ライラの顔をじっと見る。

「な、なにっ……?」

「体調でも悪いのか?いつもより元気がない」

シャイターンはライラの頭を撫で、どこが悪いんだ?と優しく聞き、ライラは俯き顔を赤らめる。

「……別に、体調が悪いわけじゃない……」

「嘘だろう。無理しないでくれ」

シャイターンが支えるよと差しのべた手をライラは振り払い、大きい声を出す。

「大丈夫だったら!!構わないでよ!」

言ってからライラは、あっ…と青ざめた顔をする。

「あ………っ」

走りだそうとしたライラをシャイターンは手を掴み、自分の方へ引き寄せる。

「ライラ、何か嫌なことしたら謝る、すまない……ライラに嫌われたくない」

シャイターンは真剣に謝るがライラな中身など聞いておらずただ顔を真っ赤にする。

「ライラ……?」

「……………」

「ライラ、やっぱり顔が赤い「ばかぁああああ!」

ライラの大声にシャイターンは驚きひとまずライラ、すまないと謝ったらライラは再びばかぁああああ!と叫ぶ。

「な、なんで!こういう時に、な、名前呼ぶのよ!?」

「な、名前……?」

「シャイたん私のこと今まで一回も名前呼んだことなかったじゃない!エーニャやサランダは呼ぶのに、私だけ、呼んでくれないから………」

寂しかったと呟き、シャイターンはやっと事態を理解する。

「や、その……名前呼ぶの……恥ずかしくて……」

「じゃあなんで今呼んだの?」

「ライラに嫌われたくなくて…」

「確かにあそこで君はおかしいもんね…」

でもなんで名前呼ぶの恥ずかしいの?と純粋な瞳で聞き、シャイターンは顔を赤くし、ライラの耳元で囁く。

「ライラが好きだからだ」

「……………へ?」

ライラは目を丸くし、もう一回と言い、シャイターンは再び同じことを言い、ライラは何回も同じことを言わせる。

「ライラ、もういいだろう」

「え、だって!シャイたんが私を好き…?え、サランダが好きだと…」

「私はずっとライラが好きだよ」

「………わ、私も!私もシャイたん、すき…!」

シャイターンはそれを聞いて顔を真っ赤にして、よかったとその場に座り込む。

「ねぇ、シャイたん」

「なんだ?」

「ぎゅーして?」

「…………」

シャイターンは立ち上がりライラを抱き締める。ライラはえへへと幸せそうにシャイターンを抱き締めかえす。

「ねぇ、シャイたん」

「なんだ?」

「ちゅーして?」

「………」

シャイターンはライラの額に軽くキスをする。ライラはヘタレーと唇を尖らす。シャイターンは恥ずかしくないのかと聞き、ライラは全然?と笑う。

「シャイたん、だーいすき!」

「ライラ、大好きだ…」

二人は頬を緋色に染め、夕陽の光を受け、唇を重ねた。










「やっとくっついた!あー!じれったかった!」

「公共の場で接吻だなんて…」

「トゥリン、あの二人は特別よ」

三姉妹に全てを見られていることを何も知らないライラとシャイターン。次の日教室の黒板に二人の愛相傘が書いてあるとは知らずに、手を繋ぎ、ライラの家へと向かった。








――――――――――
久々更新!シャイライ!バイト中に思いつきました。両片想いいいよね…!他にもネタはある、あるんだよ…!また待っててくださーい!

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