俺は仲間が大好き。
テニス部のみんな、クラスのみんな…例えミーハーでも一生懸命応援してくれる女の子達。
俺が凄いと思う部長の跡部には、凄い執事さんがいた。美人なのにいっつも無表情で、跡部に忠実で。マネージャーの居ないテニス部の雑用をしたりしてくれている。マネージャーなんだけど、彼女的には執事としての仕事らしい。完璧でこわいけど、本当に優しい女の子。だからみんな零ちゃんが大好きなんだよ!
ファンクラブがある位に人気で、テニス部ファンクラブにも全然嫌われてない!いつも跡部の為に動いていて無駄なんて無いし、そしてそれは主従関係以外の何者でもない。俺達も"主の友人"くらいにしか見ていない。それなのに女の子に優しく、まるで紳士!零ちゃんに助けられた女の子はたくさんいるんだよ!あ、もちろん男の子もね!
そんな零ちゃんが俺は大好きで、本当にまれに見せる微笑みがかわいくて大好き!

だから、嫌だよこんなの!
俺は零ちゃんのことが大好きなのに…!


「なんで舞久のこと殴ったんだCー?」

「自分、最低やな」

「クソクソ!舞久に謝れよ!」


零ちゃんに詰め寄る俺達テニス部。跡部が少しだけ離れた所であの女を抱き寄せてる。あの女を見てから、俺の体は言うことを聞かない。あんな気持ち悪い女のためなんかに、俺は零ちゃんを傷付けたくなんてない!


「……申し訳ありませんが、私は軒野舞久さんを殴った記憶は御座いません」

「嘘つくんじゃねぇよ!」

「早く謝って下さいよ!」

「そうです」


宍戸とチョタと日吉が零ちゃんを責め立てる。おかしいよ、本当におかしいよ!俺もみんなも!零ちゃんはそんなことしないのに!わかってるのに言えない!なんで!


「嘘つく零ちゃんなんて…だいっきらい!」


やだやだやだやだヤダヤダヤダヤダヤダ!こんなこと言いたくない!大好きなのに!零ちゃんは相変わらずの無表情で俺達を真っ直ぐ見据えてる。確かに跡部以外の言葉なんて戯言かも知れないし、零ちゃんは気にしないかも知れない…それでも言いたくないよ!


「零」

「はい、景吾様」

「テメェには呆れた…執事、解任だ」

「………」

「テメェはもう要らねぇ、失せろ」

「………………かしこ、まりました」


跡部が冷たい目で零ちゃんを見つめて、そう言い放った。最後の言葉を言う零ちゃんは…


な い て い た 。


ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!

なんでなんでなんでなんでなんでなんで!今すぐに零ちゃんのところへ行きたいのに、行けない!零ちゃんを泣かした跡部や自分を殴りたいのに殴れない!あの女への憎しみは募るのに、


「舞久ちゃん大丈夫だった?」


なんて笑顔で言う自分をもちろん俺は許せなかった。



next....


 


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