神の鼓動

10000Hit、そして記念企画にご参加頂き、誠にありがとうございます!
麟飛様からのリクエストの品になります。
…限りなくお応え出来ていない気が、多分200%ぐらいかと思われます(←つまり応えれていない…|||OTL)
大変遅くなってしまい、誠に申し訳ありません…!!

お持ち帰りは麟飛様のみ。
返品・交換は受け付けておりますので、いつでもどうぞ!

※CP:C+ロイ+ジェレ→ルル(?)
※リク内容:リク内容:神ルル設定で原作R2の派生モノ(特に最終話でNOT死にネタ希望)。
※スザルルではなくてむしろスザク糾弾ネタで、CPはお任せ。
※…申し訳ないですが、スザクのスの字も出てません(汗)
※NOT死にネタとあるので、神ルルそのままでは無理でした。…なので、設定のみ使用し、別ストーリー。(マテ)
※このルルは神ルルほど慈愛に満ちておりません。黒化しております…(汗)
※ルルが優しいのは、Cとロイとジェレに対してだけな感が多大にしております…。
※それでも良ければどうぞ!

*




  C.C.が、今までの記憶を失くしてしまった。
  Cの世界で見てきた、C.C.の過去…。
  そして、今現在のC.C.の言動。

  それらを思い出すと、ツキリと頭が痛む。
  それは、どうしてなのか……。


『ご主人様…』


  …以前。
  以前、C.C.に、そう呼ばれたことが無かっただろうか……?





神の鼓動






  最愛の妹・ナナリーが……死んだ。
  スザクの放った、“フレイヤ”の閃光に包まれて。

  そのショックも冷めやまぬ内に、シュナイゼルの策略により、黒の騎士団から裏切られた。
  そして、そんな自分を助けようと、偽りの弟であったはずのロロが、命がけで救い出してくれた……こんな、自分を。

  海の側にある小さな崖の上に、ロロの遺体を埋める。
  苦しかった筈なのに、良い事なんて無かっただろうに、ロロの死に顔はとても安らかだった。

  …こんな、嘘つきな自分を、兄として慕ってくれたロロ。
  弟だなんて思っていなかった自分を、命がけで救ってくれたロロ。
  助けられたのは……命だけではなかった。


「ロロ…今更、謝っても許して貰えないだろうな」


  ルルーシュは自嘲交じりに呟く。
  ロロに救われたのは、命だけではなく……この、心さえも。

  ナナリーを喪い、荒れんばかりだった自分の心は、今は穏やかだ。
  それもすべて、ロロのお蔭…。


「俺は無力だな……」


  小さく吐息をつき、眼前に広がる水面を眺める。
  広大な自然からすれば、己の苦しみや悲しみなど、ほんの僅かなものだろう。
  世界には、様々な生と死の営みがあるのだから………。


  しばらく海を眺めている内に、ふと緑髪の魔女を思い出した。
  以前は傲岸不遜な態度に色々と苦労していたが、でも今は………。


「…っ!」


  ツキリと、頭痛がした。
  まるで、何かを思い出せとでも言わんばかりに。
  ……だが。


「…そんなことよりも今は、やることがある……」


  ルルーシュは決意を秘めた、毅然とした瞳で前方を…“明日”を見つめていた ―――――。










  そして、黄昏の間。
  ルルーシュは、記憶を失ったまま戸惑っているC.C.を背後に、己の実の両親と対峙していた。


「愚かなりルルーシュ! 王の力では神に勝てぬ」

「勝ち負けじゃない。これは願いだ! …そう、俺は今こそ自分を知った。神よ!集合無意識よ!時の歩みを、止めないでくれ!」


  ルルーシュは、頭上高くにある意識集合体…“神”に心からの願いを請う(ギアスをかける)
  マリアンヌがルルーシュを止めようとするが、C.C.がさせないように立ちはだかった。


「C.C.! これは、貴女の願いでもあるのよ!?」

「そうかも知れない…けど、私が従うのはご主人様にだけだから…! ご主人様の邪魔はさせません…っ」


  怖がりながらも、懸命にC.C.はルルーシュを守ろうとする。
  マリアンヌは顔を歪めながら、C.C.を退けようとしていた。


「出来る筈がない。神に、人類そのものに!」


  シャルルは、出来る筈がないと思いながらも焦る。
  なぜ、このように焦るのかもわからないまま、ルルーシュの決意を挫けさせんために。
  だが………


「それでも俺は、明日が欲しい!!」


  その時…ルルーシュの片目だったギアスが、両目へと広がった。
  ついに、ルルーシュのギアスが最終段階へと進んだのだ。


「クッ…!」


  息を呑むシャルル、そしてマリアンヌ。
  ギアスの進化と共に力も増幅し……“神”に、ルルーシュのギアスがかけられた。
  同時に、アーカーシャの剣が…シャルル達の願いが潰える ―――。





  アーカーシャの剣と共に光となって消えた2人のいた場所を、ルルーシュは呆然と佇んで眺めていた。
  すべてが…これで、全てが終わったのだ。
  ルルーシュが“ルルーシュ”として生きてきた、全ての意味が。


ド ク ン


  そう、自覚した瞬間……ルルーシュの心臓が、大きく鼓動した。


「な、なにが……」


  戸惑いながらも、その鼓動は強く、激しくルルーシュを揺さぶる。
  …まるで、今までの自分を揺り返すかの如く……。


「ご、ご主人様…!?」

「…くっ…!」


  様子がおかしいルルーシュを、戸惑いながらも心配するC.C.。
  それに大丈夫だと返そうにも、息も儘ならなくなっていく。

  そして………全ての記憶が、甦る ―――――。











――― それから、一月後。

  謁見の間に現れたのは、ルルーシュだった。

  己が新しい皇帝だと、前皇帝を殺したのだと告げると、上位の皇族達は前者を認めようとせず、ルルーシュを捕らえようとする。
  それを阻むように現れたのは、ジェレミア・ゴッドバルトと、ロイド・アスプルンド。
  どちらも爵位を持ち、軍に属しているはずの2人だった。
  ジェレミアにしろ、ロイドにしろ、どちらも黒の騎士服を身に纏っている。


「この方を害する者は、誰であろうと許さない」

「我らはルルーシュ様の剣にして楯。我らがいる限り、ルルーシュ様を傷つけることは誰であろうともさせはしない」


  そして、ルルーシュは命じた。


「私の命には、誰であろうとも逆らえない。――― 我を認めよ!」


  ルルーシュの両目から羽ばたく、赤き鳥。
  そして、ブリタニアは認める。
  ルルーシュが、皇帝であることを…。


「イエス、ユア マジェスティ」

「「「「オールハイル ルルーシュ!」」」」


  宮殿中から響き渡る、ルルーシュを讃える声。
  それは、ブリタニアがルルーシュの手中に落ちたことを意味していた。
  …だが、ルルーシュの瞳に憂いの光がたゆたっていたことを知るのは、ルルーシュの騎士である2人、そして……


「ご主人様……」


  影から、それを見守っていた少女のみ ―――。





「陛下、準備が整いました」

「逆賊の首謀者及び、黒の騎士団の主だった者は貼り付けにしております」

「後は、残った者達を、今回のパレードで誘き寄せるのみ…」

「ありがとう、ロイド、ジェレミア」


  ルルーシュが皇帝に就任してから、様々なことが起きた。
  ナイトオブラウンズによる反旗、超合衆国への参加表明、そしてシュナイゼル率いる黒の騎士団と超合衆国との決戦。
  そして…それらは、ルルーシュ率いる神聖ブリタニア帝国の勝利に終わった。
  今や、全世界はルルーシュの手中へと落ち、ルルーシュは全世界を統べている。

  そして…残るは、黒の騎士団やナイトオブラウンズ、逆賊の残党を捕らえるのみ。


「フフフ…今回のパレードは、罪人の処刑だとすでに公表している。しかも、その対象は残党の主だった者がそれぞれ執着するだろう者達だ。…コレを逃せば、奴等を永遠に助けられないからな…」


  嫣然と笑うルルーシュに、ロイドとジェレミアは見惚れつつも跪く。
  皇帝の椅子に腰掛けるルルーシュの、左右の手の甲に、それぞれがそっと口付ける。


「貴方様の為ならばこのロイド・アスプルンド、どんな難題だろうとも、必ずや成し遂げてご覧にいれましょう」

「同じくジェレミア・ゴッドバルト、陛下への忠誠に優るものございません!」


  幾度目かの忠誠を誓う2人に、ルルーシュは慈愛に満ちた微笑みを向けた。


「2人の想い、嬉しく思う。…だからこそ、命じる。我が許しなく、その命落とすな!」

「「イエス、ユア マジェスティ!」」


  ロイドとジェレミアは知っている。

―― この、美しくも聡明な主が、誰よりも心優しいことを。

  だからこそ、彼は許さないのだ。

―― …世界の全てを危機に曝した者達を。


「…さぁ、始めようか。この愛しき世界を脅かせし者達に、世界からの粛清を!」


  これから、神の裁きが始まる ―――――。





(私は、この世界を見守ってきた。それらは全てこの世界を愛するが故)

(だからこそ、それを失わんとせし者達を、許すことが出来ない)

(人を、生ある者達を、私は愛している。…だからこそ、他の生ある者達への裏切りは尚、許しがたい)

(さぁ、舞台は用意した。…踊るがいい。私の掌で、最後の円舞曲を)
*