Rose Baiser ―君への薔薇色のキス






「エリザ!!待ってよー!」


エリザが書類を抱えて廊下を歩いていると、後方から見知った声が聞えた。
またか、と小さな吐息を着いて後ろを振り返る。


「なんだ、お前また仕事を抜け出してきたのか」


リーバーに叱られるぞ、と付け加えるのも忘れない。


「っ!違うよ!ちゃんと仕事片付けて来たもん!」
「そうか・・・ならいいが」
「えへへ、今日はね、エリザにー渡したいものがあってー」


普段のマッドな彼にしてはもじもじと歯切れの悪い発言だ。


「私に渡したいもの?」
「えっとね、ハイ!」

コムイがそういうと突然視界に真紅が溢れた。
甘い花特有の芳香に嗅覚も刺激される。
その香りに目眩すら覚えた。


「・・ば・・ら・・?」

「今日はね、エリザと初めてキスした記念日だよ!」
「えっ!?」

コムイの言葉にエリザが面食らっていると、コムイは構わずエリザに抱きつき(正確には飛びつき)
彼女の両頬と唇にちゅっちゅと唇と落すと


「これからも沢山キスしようね!!」


といって、普段では発揮しないような筋力をフルに発動してエリザをぎゅうぎゅうと力いっぱい抱きしめた。




あたり一面に散らばった書類がまるで祝福しているかのようだった。









(室長こんなところに!!今すぐ仕事戻れよ!!!)
(あは、見つかっちゃった!エリザ一緒に逃げてくれるよね!?)
(知らん。私を巻き込むな。逃げるなら一人で逃げろ)
(そ、そんなぁあーー!!ひどいよぉお!!)
(ふんっ)



お題元:縁繋


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