急がなくてもいいよ

ついこの間、幼少の頃より想い慕っていた幸村と想い想われる仲になった。
所謂、恋仲というものである。



自分でいうのもなんだが私は幸運な姫だと思う。
恋慕った相手、幸村と添い遂げられる。夫婦になれる。


今の世では姫は専ら戦略、友好、人質・・・様々な理由で外に嫁いでいく。
父上は「そなたはそなたの人生を歩め」と言ってくれた。


おっと、すまない・・・話が反れたな。
恋仲になった・・・・恋仲になったわけだが・・・・。



以前にもまして幸村から距離(物理)を感じているのだ・・・。昨日など八つ時に縁側で二人で座っているのに、幸村が遠い・・・遠いのだ・・・。幸村が我々の間に透明な人物がいるかでも様に一人分離れて座っている。



「・・・・幸村?」
「・・・な、なんだ?」
「何故そんなに離れて座っている?もっと近こうに・・・」
「・・・・・む、むりだぁぁあああ」


素直に尋ねたらそのまま逃げられてしまったのだ。



「佐助!これをどう考える!?」


恋仲とはもっと仲睦まじく手を握ったりするのではないのか!?



「うーーーーーん」
「幸村はどうなってしまったのだ!?」


(旦那…両想いになって急に照れが出る気持ちもわからなくもないけど、だらしないぞー)


「なぁ、佐助ぇ!」
「えっとね、姫様。旦那にはね?時間がね、必要なんだよ。どんどん慣らしてあげないと」
「慣らす・・・?私に??」
「うんうん、そういうこと」





「お二人はもう恋仲なんだから、ゆっくり距離を縮めていけばいいんだよ〜」
「なるほど・・・そういうものなのか・・・」
「そうそう〜急がなくていいよ〜」




(壁に耳にあてて盗み聞きするくらいなら、乗り込んでくればいいのに)




「旦那ってばホント面白いんだから」
「佐助、何か言ったか?」
「何でもないっすよ〜」


21:55 2018/03/05


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -