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弟たちが訪ねてきたので出迎えたら、一緒にいた知らない男に求愛された。
満も何が起こったのかよくわからないが、とりあえず不審者に捕まった手を、触んないで!とバシンと勢いよくふりはらった。
フシャーっとまるで威嚇で毛が逆立つ猫の心境だ。


「行き成り、何なのよ!!もう!!」


誰か説明しなさい!という満の呼びかけに、はっとフリーズが解けた遊星がいう。


「こ、この男は鬼柳だ。おれたちと決闘チームを組んで・・・」
「・・・決闘チームぅ?」
「そ、そうだぜ!それで俺たち今日は満姉ちゃんに頼みがあってきたんだよ」
「頼みぃ?」
(なんか嫌な予感しかしないわ)


中で話すからさ〜!、邪魔するぞ、ホットミルク飲みたい、なんて各々のたまってずかずかとビルに入っていく遠慮のない弟たちに盛大に溜息をついた。満の予感は見事的中することになる。ちなみに、鬼柳という男もついてくる。にこにこと自分のことを見つめる鬼柳にちょっと恐怖した満だった。


2階の食堂スペースに移動し、不本意だが招き入れることになってしまった4人にお茶を出してやる。なんだかんだいって優しい姉なのだ。
自分も椅子に腰を下ろし、満は4人を睨み付ける。


「それで?ちゃんと初めから説明しなさい」


満の眼光の鋭さに縮み上がりながらも、燻っていた弟たちは鬼柳と出会い、勧誘されて決闘チーム組むことになったこと、この決闘チームでサテライト制覇を目標にしてること、そしてそのアジトに満が塒にするこの辺の建物を使わせてほしいことなどを順を追って経緯を説明した。
満はマグカップを両手で包んで、弟たちの話を静かに聞いていた。


「最近徒党を組んで騒いでる奴らがいると思ったら・・そんなことしてたの・・・」


満の返事はふうん、決闘ギャングねぇ。といかにも興味なさげなものだった。


「で、ここに住まわして欲しいだけど〜〜」
「・・・・私も管理者として任されてる以上、特定の人物を贔屓したりは出来ないわ」


がっかりした4人を前にでも、と続ける。


「隣のその隣の廃ビルなら空いてるから好きに使えばいいわ」
「「「「・・・!!」」」」
「ありがてぇ!」
「やったぜー!!」
「ありがとう満!」

喜ぶ弟たちを尻目に、ちらりと、端に座っていた鬼柳を盗み見ると、キラキラと目を輝かせてこちらを見る鬼柳とバチンと目が合った。
目があった満はなんだか途端にげっそりとした気持ちになった。


(私・・・もしかして、早まったのかしら・・・)



「ん?管理者?、満、管理者とはどういうことだ??」


先程理解できなかった言葉があったらしく、ジャックは話を蒸し返した。


「え、ジャック、今それ聞いてくるわけ?」
「あ、俺もそれ気になってた」
「俺も」
「なぁ良かったら、教えてくれよー」
「はぁ、しょうがないわねぇ・・・」


秘密よ、と付け加えて、そして満はその強さを買われ、一年前からサテライトの中でもさらに最悪のB.A.D地区の自治管理を任されているいう話をしてくれた。無法地帯にも秩序は必要らしい。
彼女は今でも女王に間違いなかった。(結婚したとかじゃなさそうだ、よかった、俺の女神)なんて鬼柳は思っていた。


「ていうか、あんた達もしかしてタダでご飯たかる気なんじゃないでしょーねー?」


ギクリ、と図星をつかれた弟たちの肩が揺れる。


「大の男が4人もいて、そんなことさせないからね?ちゃんとなんかしら調達してくるのよ?」


料理はしてあげるから、とにっこりと綺麗な笑顔で満は言った。
遊星たちの甘い考えは勿論お見通しだったようだ。



(あ゛〜〜ますます好きになっちまうぜ、女王!)

(うう、なんか悪寒がするわ・・・風邪でも引いたかしら)



―鬼柳と満の攻防戦のゴングが本人も知らぬうちに鳴った。




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