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私はセキュリティを通じて、ゴドウィンとの面会を希望した。
突っぱねられるかと思いきや、ゴドウィンは迎えを寄越した。

迎えにきたヘリに乗り込みシティに向った。


―シティの治安維持局ビル


上階の立派な部屋に通される。
ピエロのようなメイクの小さい男に案内され、自動ドアをくぐるとそこにゴドウィンはいた。


「やぁ。よく来てくれましたね」
「長官さん、説明してもらおうかしら」

「アナタ、長官になんて口のきき方を!」
「あ゛ぁ!?うるさいこのピエロ男!」
「ぴっ!?!?」

華奢な見た目と相反した満の暴言にイェーガーは目を白黒させた。


「イェーガー。いいんですよ、彼女は“サテライトの女王”なんですから」
「女王というと、あの、サテライトの地下格闘技場で史上初の連勝無敗記録を持つという、伝説の・・・」
「彼女には私がお願いして、数年前からあの辺一体を管理してもらっています」
「そ、そうでございましたか・・・」
「フンッ、」

「で、ここに招いてくれたってことはっ、」
「えぇ、ご説明してあげますよ」


「サテライトには、この戦いの戦場になっていただきます」


まるで何でもない事のようにゴドウィンは言った。


「・・・ッ」
「おや、あまり驚きませんね」
「・・やっぱり大人しく犠牲になれっていうのね、・・・そんなこったろうと思ったわ・・・ダークシグナーとかいう奴らと戦うんでしょ、」
「そこまで御存知でしたか」

「アンタのお為ごかしはもうたくさんよ!」
「おやおや、手厳しいですねぇ」
「おまけに?うちの弟たちまでいいように使ってくれちゃって!」
「私も彼らには助けられていますよ」
「ハッ!よくいうわ」

バチバチとした火花が見える、そんな幻覚にイェーガーはめまいがした。



ひとまず満にでも言えるであろう範囲のことは聞きだした。


「では、引き続きお願いしますよ、女王殿」
「チィッ、“伝説の男”に言われても嬉しくない!」


(いつかその不自然な左腕をちぎってやる!)


盛大に舌打ちをして満はゴドウィンの部屋を後にした。
廊下に出ると、大きな足音がこちらに向かってきた。


「ん?」
「サテライトの女王がきていると聞いたぞ!!」

足音の正体はジャックだった。わらわらと人ごみをかき分けてこちらにやってくる。
後には秘書だろうか、スーツの女性の姿もある。


「うるさい、バカジャック。私はここ」
「満!!」
「なっ!アトラス様に向って何を!」


さっきもやったわ、このやり取り。満は軽い頭痛を覚えた。


「満!やつが、きりゅうがっ!!」
「フンッ!!」

満は出会い頭にお喋りがすぎるジャックのボディに一発食らわさせてやった。

「ぐふッ!!」

重いパンチにジャックが床に膝をついた。驚いた秘書がジャックに駆け寄る。

「きゃあ!!アトラス様ぁ!?」
「悪い子には教育的指導よ」

「いきなり殴るだなんて!あなた一体何者なんです!?」
「お、俺の姉だ・・・」
「アトラス様の、お姉さま・・・?」


はい、お姉さまですよ。と満腕組みと視線だけで答えた。


「因みにいまのは一年前におイタした分よ」
「ぬぅ・・・」
「ちゃんと遊星たちに“ごめんなさい”したんでしょうね」
「・・・・・・」
「その様子じゃ、まだのようね・・・」


ちょっとは反省しているのか、ジャックは反論してこなかった。


「まったく、困った弟たちだこと・・・それじゃあ私は帰るわ。しばらくハウスにいるだろうから」

「ジャック、あんたは、あんたのやるべきことをちゃーんとやるのよ」
「あぁ・・・」
「ん、いい子。応援してる」


景気づけにバシバシとジャックの背中を叩いて、私は治安維持局をシティをあとにした。


「あ、嵐のような方でしたね・・・」
「ただの暴力姉だ・・・」





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