とある病院のとある病室。霧野は愛しい恋人である神童のお見舞いに来ていた。
「神童、具合はどうだ?」
雷門中サッカー部のキャプテンを務めていた神童は先日練習中に倒れた。小さい頃から身体が弱いのは知っていたが倒れることはなかった為、流石の霧野もこれには動揺を隠せなかった。
「あぁ、今のところは何とか大丈夫だよ」
原因は不明。監督や神童の親、看護師にも聞いてみたが話してはもらえなかった。
「そうか。それならよかった…」
嘘。本当は全く以てよくない。神童を失ってしまうのではないかという恐怖と不安が募りに募って、霧野はここ数日で4キロも痩せてしまったのだ。
「天馬の調子はどうだ?」
天馬、という単語が突っ掛かる。お見舞いに来る度に必ず訊いてくるのは、神童の代わりにキャプテンを務めている天馬のことばかり。その事に対して霧野は静かに嫉妬心を燃やしているのである。
「もう大分慣れてきたよ。剣城も狩屋も天馬の指示に従ってるし。ま、相変わらず狩屋は俺のこと敵視してるみたいだけど。」
「そうか…」
安堵したように微笑む神童。しかしその心の中では先程の霧野とは裏腹に、狩屋に対して嫉妬心を燃やす神童がいた。当の本人は気付いていないが、霧野が狩屋の話をする際は微かに表情が柔らかくなるのだ。この微妙な変化は幼い頃からずっと霧野を見てきた神童にしか分からない。だからこそ神童は、霧野に自分の事以外で表情を弛められる相手が出来たことが悔しいのである。束縛したいわけではないが自分から離れていってほしくもない。そんな感情がぐるぐると頭の中を駆け巡り、神童にとっては自分の体調よりも霧野の方が心配なのだ。
「明日の試合も頑張れよ。俺の分まで…」
「あぁ、任せろ。どんな相手だろうが必ず勝ってみせるさ。」
試合に参加したいという願望をぐっと堪え、神童は霧野に笑ってみせる。霧野もそれに答えるかのように微笑む。そして、どちらからともなく口付ける。恋人であるだけに帰り際には決まって口付けを交わすのだ。神童が入院している病室は個室だから誰かに見られる心配も無い。
「じゃあまた明日来るから」
「あぁ、試合楽しみにしてる」
互いに名残惜しさを感じつつ、霧野は病室を後にした。
多分ゲームPVの神童入院シーンだけ見て衝動的に書いたものです。多分。
この後狩屋が出てきてまさかのマサ蘭展開になるとメモには書いてあったのですが雑すぎてよくわからないので強制終了。
タイトルお借りしました。【@.HERTZ】
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