◎クリームみたいに、ふわふわ















俺は甘党だ。
こんな見た目でそんな事言うと女みたいって笑われるけど、好きなもんは好きだから仕方が無い。
そして……

「神童、それちょーだい」
「ん…ほら、口開けろ」
「あーん」

……俺の彼氏――神童拓人もまた甘党だ。

部活が無い日は決まって神童の家でケーキを食べる。
メイド特製のケーキはそこらへんの洋菓子屋とは比べ物にならないくらい美味しい。
今日は俺がロールケーキで神童がショートケーキ。
神童のショートケーキを一口貰うために身を乗り出し、フォークに乗るスポンジと生クリームをぱくりと口に含む。
口内に広がる甘くてふわふわとした食感に堪らず頬を弛めた。

「ん…、やっぱ美味いなぁ」
「…霧野、俺も霧野の欲しい」
「あぁ、いいよ。ほら…」

ロールケーキを一口サイズに切ってフォークに刺し、神童の口元へ持っていく。
神童はさっきの俺みたいに身を乗り出してフォークの先のケーキを…――

「…え…、んっ!?」

……通り過ぎて、俺の視界が神童の顔でいっぱいになったと同時に唇に柔らかい感触。
キスをされたんだと気付くのには少し時間が掛かった。

「っ…、おい神どっ…んむっ」

すぐに唇は離されたので抗議しようと口を開くも、今度は噛み付くように荒々しく口付けられて何も言えなくなってしまう。

「んっ…、ふぅ…」

俺の唇を割って神童の舌が侵入してきた。2人分の唾液が混ざり合って、飲み込みきれなかった唾液が俺の口端から溢れ落ちていくのが分かる。
お互いついさっきまでケーキを食べてた所為で今日のキスはいつもより甘くて蕩けそうになった。










(ふわふわのクリームみたいに、お前も俺の熱で溶けてしまえばいいのに)



(溶けたらずっと一緒にいられないだろ、馬鹿)









* * *
▼おまけ





「…で、なんでいきなりキスしたんだよ」
「なんでって…したかったから」
「…ロールケーキが欲しかったんじゃなかったのか?」
「…?そんなこと一言も言ってないが…」
「へ…?…っ――!!」
「今頃気付いたのか?」
「う、うるさいっ!もう黙ってろ!」
「照れてるところも可愛いな」
「うっせー!!」










* * *

企画参加させて頂きましたー!
これ以上書くと濡れ場に発展しそうだったので中途半田に終わらせてしまいました…。
意味わからない文で申し訳無いです(´・ω・`)


企画:君とキスする五秒前





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