▼ まずは見た目から
「これがお前の忍び服だ。」
「・・・・・・・・」
千鶴が渡されたのは伝統的なくノ一の衣装。
「・・・・・・これ、裾がものすごく短いです・・・こっ、これでは下帯まで丸見えです!」
そう、千鶴が手渡されたくノ一の服の裾はお辞儀したりすると下帯が簡単に見えてしまう程短い物だった。
「気にするな」
「気にします!」
「それ着なきゃくノ一にはなれねぇぞ」
「あううう・・・・」
しょうがなく千鶴はくノ一の衣装を着る。
********
「ど、どうでしょう・・・似合いますか?」
「ああ、似合う似合う」
「ほんとおですか・・・?」
「あぁ、可愛い可愛い」
「ありがとうございます・・・」
カアアア・・・・
千鶴はどうやら満更でもないようだ。
「でも御師匠様、やはり屈むと見えちゃいます・・・恥ずかしいです・・・」
「気にすんな」
パァァァン
「きゃあああああああ」
「チッ、尻叩いたくらいで騒ぐな」
「うわあああん!気にしますう!汚されましたあ!」
「てめっ、人聞き悪い事言うな」
「お師匠様のスケベェ!へんたいっ!」
「あん?お前んな生意気な口きいてると破門にするぞ」
「はぅ!ずずずるいです!!お師匠様」
「お前が俺の弟子になった以上これからはアホな事ぬかすとケツひっぱたくからな」
「そっ、そんな!お、横暴!変態忍者ぁ!お師匠様のロリコン!」
「ロリコン言うな時代設定が違うんだからよ。」
パァァァン
「いやあああああああ」
そんなこんなで新しい弟子の千鶴と最強忍者土方は険悪な雰囲気になりながらも仲を深めていった。「とりあえず見た目から」甘やかされボンボン娘千鶴をなんとか見た目だけ立派なくノ一に仕上げた。
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「師匠の飯作るのは弟子の仕事だからな」
「はい!」
時刻はすっかり日暮れ。そろそろ夕餉の準備をするため二人は台所に来ていた。とは言いつつ、土方は一つ不安な事があった。
(こいつ金持ちの娘だが飯作れんのか?)
しばらく土方は千鶴の動きを観察する。意外にも千鶴はテキパキと手慣れたように次々作業をこなしていく。あっという間に味噌汁やら米やらのいいにおいがしてきた。
「なんだ。金持ちっつうからどんな悲惨な事になるかと思ったが美味そうじゃねぇか」
「お師匠様!こうみえても私は幼い頃から家事手伝いは花嫁修行として習ってきてるんです!今夜は美味しいご飯を作らさせて頂きますね!」
にっこりと得意気に微笑む千鶴は可愛いらしかった。台所に立ち料理してる千鶴の後ろ姿を見て「悪くねぇな」なんて思ったのは秘密である。
千鶴が弟子になって1日目、波瀾万丈な日々がこれから待ち受けているのは今は知らない。
その日の晩ごはんはお師匠様曰わく、とてもおいしかったそうな。
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