そんな二人の朝



「なんちゃって☆浦島歳三」シリーズ






浦島さん達の住む浜辺にも朝がやって来ました。


「んぅ・・・」

浦島さん達の住む小民家。ここに一つの布団に浦島さんと亀千鶴ちゃんがくっ付きながら眠っています。

ぱちり!

目を覚ましたのは亀千鶴ちゃんです。亀千鶴ちゃんは海生まれの海育ちですので朝は強く、早寝早起きです。
むくりと布団から起き上がる亀千鶴ちゃん。亀千鶴ちゃんが朝起きて最初にする事は・・・・


じ―――――――

愛しい旦那様の歳三さんの寝顔を見つめる事です。

(歳三さん今日もかっこいいです・・・・・)

亀千鶴ちゃんは浦島さんの奥さんです。娶られた動機は不純ですが(※詳しくは「なんちゃって☆浦島歳三」第1話を御覧下さい)今はラブラブで夫である浦島さんを敬愛しています。

ゴソゴソ・・・

寝顔を見るのに満足した亀千鶴ちゃん。朝の身支度を始めます。
寝間着を脱ぎ、薄紅色の着物に着替え、髪を結い上げ、そして最後に亀の象徴である甲羅を付けます。

かぱっ

「はふぅ〜、落ち着きます・・・」

この甲羅がどうやってくっ付いているのか、また本当に必要なのかは不明ですが亀千鶴ちゃん曰わく、「これは亀一族のポリシー」なのだそうで、絶対に必要不可欠みたいです。

「あんあんっ!」

「しー!しーですよ誠君。歳三さんはまだおねむですからね♪」

「くーん・・・」

わんわん元気に鳴いているのは犬の誠君。亀千鶴ちゃんが拾って来た迷い犬です。誠君用のご飯をお皿に盛り、亀千鶴ちゃんは誠君に朝ご飯を与えます。

「どーぞ!」

はぐはぐはぐ

元気モリモリ誠君。朝からたくさん食べます。誠君は亀千鶴ちゃんの友達であり家族です。誠君の頭をなでなでとなでながら自分達用の朝ご飯をつくり始めます。

「今日は大根と揚げのお味噌汁と、アジの開きとおひたし!です」

浦島さんは漁師な為、毎日魚を捕って帰ってきますが海生まれ海育ちの亀千鶴ちゃんは魚は友達であり家族!なはずだったのですが、「自分が食べないなら大丈夫」との事で、最近は浦島さんの為に色んな魚料理を学んでおります。亀千鶴ちゃんは神経が図太いのです。

釜戸からお米の炊けたいいにおいがしてきます。

「ふぁあ〜唾が出てきちゃいますね♪」

と、ここで愛しい旦那様の浦島さんを起こします。起床時間です。


「歳三さん!歳三さん!朝ですよ、起きて下さい!」

「かぁ――、んがぁ――ZZ」

浦島さんは起きません。

「歳三さん朝ですよ!起きて下さいご飯が冷めてしまいます。御寝坊はだめなのですよ〜!」

ポムポムベシベシ

浦島さんの布団を叩きながら亀千鶴ちゃんは旦那様を起こします。

「ん・・・・あ〜〜っせぇ!」

すると、うるさかったらしい浦島さんは

べしっ!

と亀千鶴ちゃんの頭をチョップします。

「きゃう!」

痛いらしい亀千鶴ちゃん。でも浦島さんは寝ぼけて気付きません。

「んがぁ――、くか――〜ZZZZZ」




***

10分後、ようやく浦島さんが目覚めたのでした。

「ん・・・・朝か・・・」

「歳三さん・・・ようやく起きたのですね」

「あぁ、」

「あの・・・では・・・」

もじもじと何か恥じらうように上目づかいで浦島さんを見る亀千鶴ちゃん。どうしたのでしょうか?

「ん?どした」

「おはようの口付けを・・・」

「あぁ、そうだったな。ほら」

ちゅっ

「はう」

おはようの口付けのおねだりだったようです。浦島夫妻では毎朝のお約束事だそうです。浦島さんはやさしく亀千鶴ちゃんのほっぺに口付けました。

「えへへへへっ!」

幸せそうに喜ぶ亀千鶴ちゃんを見て浦島さんも微笑んで亀千鶴ちゃんの頭をなでなでしました。


「うまそうだな」

食卓につく浦島さん。うまいうまい言いながら亀千鶴ちゃんの手料理を頬張ります。

「今日、土産にうまいもん持ってくるから期待して待ってろよ」

「はい!」

と、言っても亀千鶴ちゃんは海藻以外海のものは口にしないのでこういう時は果物やお菓子です。地上のものを知らない亀千鶴ちゃんはなんでも奇想天外です。

身支度を済ませ、浦島さんは仕事に亀千鶴ちゃんの手作りお弁当を持って出かけます。ここでも、いってらっしゃいの口付けが待っているのです。

「いってらっしゃいです。歳三さん・・・」

ちゅっ

「あぁ、いってくる」

こうして今日も浦島さんと亀千鶴ちゃんの1日がはじまるのでした。
今日も朝日は眩しいです。







亀千鶴ちゃんの浦島さんを起こすシーンが書きたかった。



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