愛しい俺達のサンタクロース
SSLですがファンタジーちっく。
シャンシャンシャンシャンシャン
今宵、クリスマスイブに空から鈴の音が聞こえる。時刻はイブから聖夜へと変わる頃。世界中のみんなから愛されているその彼は毎年この季節は忙しい。
ここは日本の東京に住んでいる1人の女の子の家。
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
『千鶴ちゃんや・・・千鶴ちゃんや・・・』
『ん・・・・?』
千鶴は夢の中から優しい声の主に話し掛けられた。
『どちら様でしょう?』
『君も知っている。』
『へ?』
『ま、夢の中だからええじゃろ。それよりな千鶴ちゃん。君に頼み事をしたいんだ。』
『頼み事・・・?』
『とても困っていてね・・・ワシは今夜仕事が忙しい。世界中の子供達にプレゼントを届けなくてはいけなくてね』
『はぁ・・・』
『大人も子供もできれば皆にプレゼントを配らなくてはいけないんだが手が回らん。そこでだ。君にこのリストの子達にプレゼントを配ってはくれんだろうか?』
『わぁ!楽しそうですね是非やらせてください!』
『ありがとう・・・トナカイとソリは貸してあげよう。あとプレゼントが入った袋。この袋には君がその人にあげたいプレゼントが入っているよ・・・』
『私のあげたいプレゼント・・・・・』
『あとこれはオプションじゃ。』
シャランラ〜〜〜
おじいさんが手をふると千鶴ちゃんはサンタの衣装に変わった。
『わぁ!』
『制限時間は世が空けるまで。君の大切な人達にプレゼントを贈ってくれ』
『はい!』
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン―――
********
―――――シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
リスト名簿は以下の通り。
●まずは土方先生のお家
「最初は土方先生のプレゼントですね。」
「すーすー・・・」
土方先生の綺麗な寝顔は月明かりに映えて幻想的。だが寝ているのはベッドではなく寝室のデスク。机の上には生徒のテストの採点やらプリント作成中のパソコンが繋がったままだった。
「お疲れ様です土方先生。先生へのプレゼントは栄養ドリンクとたっぷりの睡眠時間をプレゼントします。ゆっくり休まれて下さいね」
おじいさんから渡された袋に手を入れるとキラキラした星屑が溢れ出し星屑達がプレゼントとして"カタチ"になる。
「メリークリスマス土方先生」
「ん・・・ん?雪村!」
「きゃ!土方先生起きて!?」
「んな格好で人ン家に何してる?」
「仮サンタクロースですよ。夢の中だけですが」
「あ"あ"?サンタクロースだぁあ〜?」
「ヒイィィ!」
睨まれた。
「なんだそのミニスカート。んな格好で夜の男の部屋に入るな」
「女の子用サンタクロースですよ?」
ぴらっ
「きゃああああああ!スカートめくらないでください!」
「どうせ夢なんだからいいだろ。」
「土方先生のばかああ!もう帰ります!」
「あっ待て!」
「メリークリスマスです!」
あぶないあぶない危ういところだった。少し気を付けよう。
「えーと次の送り先は・・・」
●沖田先輩のお家
「おじゃまします」
「だれ?」
「きゃあああ沖田先輩起きてっ・・・!?」
「千鶴ちゃんだ。サンタの衣装着た千鶴ちゃんだ。夢かな有り得ないよね。夢かあ・・・」
「夢ですよ。私の夢の中です。」
「そっかあ・・・夢かぁ・・・千鶴ちゃんサンタ衣装可愛いね。ドンキに売ってるようなサンタ衣装だねスカート短いね可愛いね」
じろじろ
「あまり見ないでください・・・」
ぴらっ
「きゃあああああああああ!スカートめくらないでください!」
「夢なら許されるかと思って。」
「もう!もうもうもう!!」
「ところでプレゼントくれるの?」
「え?あ、はい・・・」
「僕新しいスマホがいいな。iPhone5でもいいよ」
「・・・じゃあそれにしますね。」
「やったあ!」
「沖田先輩にはiPhone5と"良識"をプレゼントします」
「どうせ夢だから千鶴ちゃんに色々してもいいかなぁ〜?」
「だめです!」
「まあまあ」
ガバッ!
「きゃあああああ」
なんとか逃げ出せた・・・
まだリストはいっぱい残ってるがんばらなくては・・・!
「えーと、次は・・・」
●斉藤先輩のお家
「くせ者か!?」
「きゃあ!違っ雪村です!泥棒ではありません!」
「雪村・・・?」
あぶないあぶない木刀振り回してきた・・・
「何故雪村が俺の部屋に・・・その格好はっ!?」
「1日サンタクロースです。と言ってもこれは私の夢の中の出来事ですが・・・」
「夢か・・・なら俺も同じ夢の中という事なのだな・・・・しかしその格好短いのではないか?」
またスカートをみられている・・・・・
「可愛くないでしょうか?」
「いや・・・可憐だ。妖精のようだ」
「あ、ありがとうございます・・・・」
カアアアアア・・・・
ぴらっ
「きゃあああああああああ!」
「はっ!すまない!だが夢だというのなら許されるかとっ・・・いやなんとおれは不粋な真似をっ・・・淑女になんて事を!」
「いえあの・・・もういいですよ・・・」
「クッ・・・、償いをしたい・・・」
「あ、でしたらクリスマスプレゼントを受け取って下さい何がいいですか?」
「クリスマスプレゼント・・・・・か、ならば新しい胴着がいいな。」
「かしこまりました。メリークリスマス!」
「ふう・・・やっと四人目。次は・・・」
●平助君のお家
「かー〜すかー〜ZZZ」
「ふふっ、平助君寝てる寝てる。寝相わるいなぁ、お布団掛け直してあげよう」
ふぁさ。
「・・・ん、ン?千鶴?」
「あっ、平助君・・・」
起こしちゃった。
「サンタの格好だ千鶴かぁいいなぁ〜夢かあ・・・」
「うん。夢だよ。」
「夢かあ・・・」
「メリークリスマス平助君!夢の中だけど私1日仮サンタなんだ。クリスマスプレゼントは何がいーい?」
「えマジでなんでもいいの?」
「うん!」
「ゲーム!新しいゲームがいい!」
「わかった!」
シャランラ〜〜〜
「平助君には『薄桜鬼SSL〜sweet school life〜(限定版) 予約特典ドラマCD付』をあげるね予約注文しておいたから♪」
「え、興味ねぇんだけど。てかそれ乙ゲーじゃん?てかまだ未発売じゃん?それ発売日来年じゃん?」
「メリークリスマス!」
平助君プレゼント喜んでくれて良かった。次はえーと
●原田先生のお家
「おじゃましま〜す」
コソコソ・・・・
「ん〜・・・」
あ、原田先生お休み中です。ここはこっそり枕元にプレゼントを置いて・・・
「んー誰だあ〜〜?」
ムクリ
「あ」
起きてしまいました。
「メリークリスマス原田先生サンタクロースですよ」
「・・・千鶴だな。」
「はい千鶴です・・・」
「え、夢なのか?」
「夢です。私の夢なんです。今私は1日仮サンタクロースなんですよ!プレゼントは何がよろしいですか?」
「プレゼントか?ん〜夢だしなぁ〜贅沢しても罰はあたんねーかなぁ〜」
「どんとこいですよ♪」
「よーしなら千鶴だ!」
「へ?」
「『一晩過ごす権』だ。」
原田先生は千鶴をベッドへと引きずり込む。
「きぃやああああああああああああああああ!!!」
「おーう、夢とは思えない感触。リアルだなぁ〜」
ぺたぺたさわさわ
お尻や胸やほっぺにちゅーや夢なのを良いことに原田先生は好き勝手する。
「ストッ、ストップ!原田先生!は悪い子なのでプレゼントは無しです!!」
バチコ―――――ン
「うう・・・・」
右頬に平手打ちをして逃げて来ました。プレゼントは無しと言いましたがあのおじいさんから果たされた使命ですから、『良識のある大人の本』と『親鸞』の本を枕元に置いて帰りました。
「ちょっと疲れたなぁ」
えーと次は・・・・
「あ」
●風間さんのお家
「すごい・・・」
時代劇に出てくるような日本建築。ここでサンタクロースの格好の私が居ていいのでしょうか?
「失礼致します・・・・」
躙り口と呼ばれる小さい入り口から入る。
「わ・・・」
そこは風間の部屋。布団が敷かれ金色の綺麗な髪をちらばせながら眠る風間がいた。
「綺麗・・・・」
ついつい容姿に見とれてしまった。
「はっいけない!」
今は自分はサンタクロース。使命を果たさなければいけないのだ。
「プレゼントは『婚活しましょう!』と『現実をみつめる』って本の二冊と何人かの女の人達のお見合い写真!」
「ん・・・誰だ?」
あ、起きちゃった!逃げなきゃ。
なんていうのもつかの間。すぐに捕らえられた。しかも後ろから抱き締められている。
「千鶴か・・・?こんな夜更けに・・・夜這いか?」
「違っ!ち・が・い・ま・すぅ!」
「その格好はどうした?」
千鶴は今までを思い出しスカートを両手で抑える。
「サンタクロースなんです。私の夢の中だけですが・・・」
「たしかに現実では我妻がここにいるのは有り得ないな。ふっ、それにしても・・・・」
ちゅっ・・・
「きゃあ!」
「夢だとしても我妻に会えるのは嬉しいものだな」
頬にキスされた。
「きゃあきゃあきゃあ!」
「夢なのだ子づくりでもするか」
「きっ、きいやあああああああああああああああああああああああああっっ」
またまた原田先生の時と同様、右頬にビンタして逃げてきました。
これでやっとリスト全員のプレゼントを配り終えた。
「おやすみなさい・・・・」
千鶴はおじいさんからの使命を果たし家路を辿った。帰り道のソリからの冬の夜空はとても綺麗だった。
**********
朝、薄桜学園に生徒達が登校する。
(昨日は不思議な夢をみたなぁ)
千鶴が登校し、自分の教室の前へ行くと土方、沖田、斉藤、平助、原田、風間の6人が立っていた。
「?・・・おはようございます・・・・??」
「千鶴さ・・・昨日俺ン家来た?」
「へ?」
「僕朝起きたら枕元にiPhone5が置いてあったんだけど。」
「俺も枕元に新しい胴着が・・・・」
「俺は乙女ゲームのソフト引換券が置いてあった」
「俺右頬が痛いぜ」
「同じく俺様もだ」
「・・・・・・・・と、いうことは。夢じゃ・・・ない?」
「あんま覚えてねーけど昨日夜中千鶴としゃべったような・・・・」
「僕千鶴ちゃんのパンツが白だったっていうのが鮮明に覚えてる」
「ん?俺も白パンだったぞ?」
「お、俺も俺も!」
「自分もです・・・・」
「へ〜、一君・・・」
「何、白パン?何の事だよ?ちょっと詳しく聞かせろよ!」
「おい、どういう事だ。我妻の白パンがどうした?」
「たたたたた大変です!!」
「ん?千鶴?」
「どした雪村?」
「あれが現実なら私っ、わたしっ・・・・!!本物にっ・・・・」
「「「「「「?」」」」」」
はてさて、答えを知っているのは本物のサンタクロースただ一人だけです。
『MerryXmas!』
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン―――
2013.12.25
メリークリスマス皆様!ははっ小話じゃなくて普通に短編に書けば良かった(- -;)
長いぞw