人それぞれなんかかんか
「千鶴ちゃん今日僕、非番なんだ。暇だから遊びに連れて行ってあげてもいいよ」
「あ、いえお構いなく。今日は土方さんに頼まれていた雑務がありますので」
「・・・・・・・ちょっと、千鶴ちゃんこの僕が君の為にわざわざ時間を割いて誘ってあげたっていうのに断るの?ていうか土方さんなんてほっとけばいいじゃない」
「いえ・・・そういう訳には・・・・・・」
「総司聞こえてたぞ・・・・・」
「わぁ〜鬼の副長さん立ち聞きですか」
「聞こえただけだ。ここ俺の部屋の前だし。千鶴!俺の雑務はたいしたモンじゃねぇから総司と行ってこい」
「だってさ千鶴ちゃん」
「いえ!雪村千鶴、一度頼まれた事は最後までやり通します!」
「千鶴ちゃん変なトコで真面目だよね。土方さんがいいって言ってんだからいいんだよ。行こう」
「いえ!一度頼まれた事は「いいから行くよ」
グイッ
「待て総司。千鶴は俺と居たいと言ってるんだ無理に誘うな」
「土方さん千鶴ちゃんは一言も土方さんと一緒に居たいなんて言ってませんよ。勘違いも甚だしい」
「うるせえ。千鶴、お前が決めろ。総司か俺。今日はどっちと過ごすんだ?」
「千鶴ちゃんどっち?」
「土方さんに最初に用事を頼まれたので土方さんです。」
「え」
「そうか、なら繕いもんを頼む羽織りが破けちまってな」
「はい!」
「ちょっとちょっとちょっと千鶴ちゃんちょっと待って!」
「何でしょう?」
「・・・・前々から思ってたけどさぁ・・・・千鶴ちゃんって土方さんの事好きなの?だとしたら傷付くんだけど」
「えっ・・・」
「なんだ千鶴、お前俺に惚れてんのか」
「あっ、あの・・・・・・・」
カアアアアアア
「だめだめ千鶴ちゃん止めといた方がいいよ。この人ね、昔女の人はらませてんだよ」
「えっ・・・・」
「黙れ総司」
「それも十七の頃にね。あちこちの芸者さんにも手出してんだよ。そしてもらった大量の恋文を試衛館の弟子達に和歌付きで送って自慢してるんだよ」
「ひっ、土方さん・・・・そんな過去が・・・・・」
「いや千鶴あのな・・・・」
「事実だから否定できないですよねぇ〜」
「テメっ・・・・」
「あの・・・今日は沖田さんと一緒に行こうかと思います。すみません土方さん。羽織は帰ったら直しますので・・・・」
「千鶴待て!」
「だそうです。さっ、行こうか千鶴ちゃん」
「千鶴待て千鶴待て!総司だって昔、女に告られて断って相手を自殺未遂に陥らせた奴だぞ!」
「沖田さんが・・・・?」
「ちょっと!それ僕あんま悪くないし!土方さん程悪態晒してないですよ」
「沖田さん・・・・相手の女性にどんな酷い断り方を・・・」
「ちょっ、千鶴ちゃん信じる気!?」
「千鶴こっち来い。俺は女をはらませても自殺未遂はさせねぇ。」
「土方さん・・・・」
「千鶴ちゃん!いいの?土方さんはね・・・男色なんだよ・・・・・・・」
「!?」
「土方さっ!!!?」
「ちっげええええええ!!!嘘付くな!俺がいつ男色になったんだ!」
「若い頃木綿問屋の番頭と」
「あれは迫られたんだ!冗談じゃねぇ!あんなトコ辞めてやったわ!つかなんでお前知ってんだ!」
「土方さん・・・お身体大丈夫だったんですか・・・?」
「信じるな!」
「さぁ千鶴ちゃん。こんな危険な鬼副長は放って置いて僕と出掛けよう。逢い引きしよう」
「あの・・・やっぱいいです」
「え?」
「そうか、千鶴は俺の方にくるか」
「いえ、あの・・・今日は原田さんと平助君と永倉さんにそれぞれ呼び出されてて・・・そっちに行かせていただきます。」
「「え」」
「すみません。土方さんの羽織りは用事が終わり次第ちゃんと直しますので、あ。沖田さんお休み楽しんで下さいね。それでは・・・・・」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
ひゅーるるる―――
木枯らしが寒い季節の事でした。
土方さんはらませと男に迫られたっていうのはどっちかなんですよね。二つの説。でももしかしたら二つ共間違いな説も。
沖田さんも試衛館道場の女の子に告白されるも断って相手の娘自殺未遂だなんて・・・
原田さんと山南さん切腹とかもうなんか昔の人の人生は壮絶すぎてスゴイです。