私のお友達



なんちゃって☆浦島歳三シリーズ!




浦島さん達の住む浜辺は今日も良いお天気です。

「じゃ、行ってくる戸締まりしっかりな。一人で町には行くなよ」

「はい!大丈夫です!いってらっしゃい歳三さん!」

いってらっしゃいのキスをして浦島さんは漁師のお仕事に出掛けました。

さてさて、今回は亀千鶴ちゃんの浦島さんが居ない間の日常をご紹介します。

まず、まだ人間界慣れしていない亀千鶴ちゃんは浦島さんに一人で町に出掛けてはいけないと忠告されています。
大きな甲羅を付けている亀千鶴ちゃん。うっかり見せ物小屋に売られてしまいます。甲羅に誇りを持っている彼女は浦島さんと約束した゛寝るとき゛以外甲羅を外そうとはしないので、町には行かせません。


「ちーづるちゃんあーそーぼ!」

「亀のおねえちゃーん!」

近所に住んでいる村の子供達です。亀千鶴ちゃんは最近やっと人間のお友達が出来ました。

「こんにちは!」

「千鶴ちゃん今浦島のお兄さんとちゅーしてたでしょー」

「朝からアツいねー」

「え!」

おや、先程のいってらっしゃいのキスをどうやら子供達に見られていたようです。ちょっと恥ずかしい亀千鶴ちゃん。でも今は新婚生活幸せ真っ只中。こんなのは逆効果。

「わっ、私は歳三さんの妻なのでしょうがないというか朝の日課になってて・・・」

「そういうノロケっていうのよー」

「あと千鶴ちゃんあんまりそういう事子供の私達に言ってるとこ見られたら大人の人達が色々うるさいから用心してね。あ!でもおもしろい新婚話はナイショで聞かせてねー」

「はい!わかりました。気を付けますね」

世間や人間界に無知な亀千鶴ちゃん。愛しい旦那様に見合う為一般常識はこうやって学びます。村の子供達にお勉強中です。

「私達これから町に行ってお菓子買いに行くんだよー」

「御駄賃もらったのー」

「千鶴ちゃんも来るー?」

「いえ、私は町には行ったらダメだって歳三さんと約束してるんです。ごめんなさい」

「そっかぁ・・・そうそう居ないものね・・・甲羅付けてる人・・・」

「残念だけどじゃあまた遊ぼーね!ばいばい」

「はい!」

「ばいばーい!」


ちょっとおませな村の女の子達と別れた亀千鶴ちゃんは今日の用事をどうしようか考えます。

「もっしもっしかめよ〜かーめさんよ〜♪」

「ワン!ワン!」

「わぁぁぁっ!!」

さみしそうな亀千鶴ちゃんの目の前に現れたのは真っ白だけどちょっと汚れた子犬。ですが亀千鶴ちゃんは子犬を見るのは生まれてはじめて。彼女は海生まれの海育ちですから!得体の知れない生き物を目の前に亀千鶴ちゃんはビクビクしますが子犬の可愛さに負けてしまいます。

「ふわあぁぁぁっ!かわいいっ!!」

くるんと曲がった尻尾をフリフリ。亀千鶴ちゃんは子犬の頭をなでなでし、一緒にじゃれ合います。

「ワンワン鳴いてるからワンちゃんってお名前ですね!」

あながち間違いではないですが正解でもありません。でも今は指摘してくれる人が不在な為、決定です。

「ワンちゃんかわいいです・・・歳三さんならワンちゃんのお名前を知ってるはずですよね・・・見せたいなぁ」

今日のする事はこのワンちゃんと遊ぶ事に決まりました。
木の枝を投げたら取ってきて、走ったら追いかけてきて、亀千鶴ちゃんは浦島さんと会えない寂しさをワンちゃんで補う事が出来ました。

楽しい時間も日が暮れて、あたりはすっかり橙色に染まっていました。夕陽が沈む海を眺め亀千鶴ちゃんは浜辺を後にワンちゃんを連れ家に帰って行きました。

******

「ただいま」

すっかり夜もふけ、浦島さんが漁から帰ってきました。

「おかえりなさい!おかえりなさい歳三さん!!」

いいニオイのする台所から亀千鶴ちゃんが出迎えます。

「良い子にしてたか?」

なでなでと亀千鶴ちゃんの頭を優しく撫でながら浦島さんは訪ねます。

「はい!良い子にしてました!」

「ワンワン!」

「ん?」

「あ!歳三さん紹介します!今日浜辺で知り会ったワンちゃんです!」

「ワン!」

「子犬じゃねーか。」

「こいぬと言うんですか?」

「正式名称は【犬】だ。子供だから子犬。拾ってきたのか?」

「浜辺に居たんです。母親犬はいませんでしたよ?」

「じゃあ迷い犬かなんかか?野良だな、こんな汚れて」

「ひとりぼっちなんですね・・・」

「・・・・・・・うちで飼うか」

「え!いいんですか!?」

「ああ、お前も俺の居ない間寂しいだろ?」

「は、はいぃぃ・・・」

「よし!今日からお前は家族だ!」

「ワン!」

「名前決めないとな」

「あっ、名前ならもう決めてあるんです!」

「なんだ?」

「ワンちゃん」

「まんまじゃねぇか。他にないのか・・・」

「ダメですか・・・ん〜ん〜・・・なら・・・歳さん!」

「却下だ」

「どうしてですかぁ・・・」

「似たり寄ったりだろ。俺にちなんだ名前はよせ」

「ん〜〜誠くん!」

「まぁ・・・いいか。」

「えへへ!決まりです!誠くんよろしくお願いしますね!」

「ワン!」


今日は浦島さん家に新しい家族が増えました。そして亀千鶴ちゃんのお友達でもあります。
これで明日からはお留守番は寂しい思いはしません。

「今日の飯はなんだ?」

「煮魚に切り干し大根とほうれん草のおかか和えです!」






なんとなく亀千鶴ちゃんの日常・・・
村の女の子はおませです。
ワンちゃんのお名前は新選組繋がりで「誠」

つづきそんな二人の朝



戻る

TOP


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -