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彼は変態でした(斉藤編)


『誘っているように見えたので、つい・・・・』







今日は斉藤さんと二人でお料理当番です。


トントントン

テンポのよい野菜を切る斉藤さんの包丁。斉藤さんは刀だけでなく包丁使いもとてもお上手です。


「斉藤さん。いいおナスが手に入りましたね!」

「あぁ、焼いてわさび醤油で食すと美味だ。今夜はそれにしよう」

「はい!」

斉藤さんは普段無口だけど私とのお料理中は色々な豆知識を教えてくれるのでいつも聞くのが楽しみなんです!

「雪村。野菜というものは人間がそれぞれの季節に必要なものをすべて持っている栄養の宝庫だ。夏野菜は水分がたくさん入っていて茄子もその証拠だ。よって野菜というのはうんたらかんたら・・・・」

斉藤さんは普段無口ですがうんちくや刀の話をする時は饒舌です。たまに難しくて聞き取れない時私は笑顔でとりあえず頷いてます。

「野菜だけでなく果物もそうだ。なぜなら・・・・」

「斉藤さんお鍋がふいてます」


テキパキ テキパキ

斉藤さんは続いて豆腐の素晴らしさについて語りながら手も口も動かす。

「大豆はそもそも・・・」

「あっつ・・・」

私は包丁で指を切ってしまいました。

「雪村!!」

「あう・・・すみません、でもちょっと切っただけなので・・・」

私の場合どうせすぐ治るだろうから・・・
なんて思っているといきなり斉藤さんが私の手首を掴んで怪我した指を口に含んだ。

「ひゃああ!斉藤さん!」

「唾液には消毒効果がある」

「は、はぁ・・・」

消毒効果は私も医者の娘だし知っているけど・・・
それにしても自分で舐めるからいいのに、はずかしいです斉藤さん。

「斉藤さん、あの・・もう・・・」

ところかまわず斉藤さんは私の指を舐め続ける。

「雪村・・・綺麗な指だな・・・白く透き通って、とても柔らかい」

「!?」

「細くてしなやかで女らしい」

「あの斉藤さん?」

困惑して彼の名を正気を取り戻さんばかりに呼ぶ。

「はっ、・・・・・すまないな。つい本音が」

「(本音?)いえ・・・大丈夫です・・・・」


「はっ!雪村!」

「はっはいぃ!なんでしょう!?」

「髪の毛に糸くずがついている」

さわっ・・・

「あ、すみませんありがとうございます・・・」

さわっ・・・

「?(あれ?)斉藤さん、あの?・・・・」

「カラスの濡れ羽色のようだないや、それ以上、まるで黒真珠のような輝きだ。そしてなんとも良い触り心地・・・シルクのような」

ぞわわわわ

いつもの斉藤さんじゃない!?

「斉藤さん!どうしたんですか!いつもこんなことしませんよね!?」

「いつも・・・俺はお前に触れたい衝動を抑えていた・・・だがあんな事をされたら男として応えないわけにはいかない」

「あんなこと?」

「妻が指を切って亭主が舐めてやるのはお約束だろう。二人きりの時に誘われるとは・・・」

「亭主!?ていうか!私誘ってません!!!」

「夫婦のような真似事を雪村が誘ってくるとは・・・・照れなくてもいいのだ、雪村・・・いや千鶴」

「・・・・・・・・・・・・・」


だめだ、なんて事でしょう
斉藤さんの思考が完全に変態化してしまった。
いつもの冷静で真面目な斉藤さんは何処に!?


「ゴホンっ、千鶴・・・さぁ、続きをしよう。まずは新婚夫婦の朝の台所でのお約束。「だ〜れだ?」からだ。」

「か、勘弁してくださいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」


その後通りかかった源さんに助けを求め(さすがに事情は言えなかった)朝食作りの手伝いをお願いしました。
斉藤さんはその時は何食わぬいつもの顔でしたがそれからは二人きりになると後ろから目隠しをし、「だ〜れだ?」をやろうとしてくるのでしばらくは二人きりにならぬよう私の警戒態勢が解かれる事はありませんでした。



『誘っているように見えたので、つい・・・・』





END



斉藤さん書くのは慣れないから苦労した!
次回は平助!




お題は「確かに恋だった」様から。


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