彼は変態でした(沖田編)
『同居人がドMなんですがどうしたらいいですか?』
「千鶴ちゃん千鶴ちゃん僕を罵ってみてよ」
「え?」
なにかと思いきや目を輝かせた沖田さんが楽しそうに私に言ってきた。
「いきなりなんですか・・・?」
「うん。たまには千鶴ちゃんを苛めるんじゃなくて苛められる側になってみるのもいいかなって」
どうやらいつもの沖田さんのひまつぶしのお遊びらしいけど・・・
下手に従ったら酷い目に合うのは日々の経験で学習している。ここは沖田さんが飽きるまで自分の身を守りながら付き合うしかない。
「罵るってどうすれば・・・?」
「ん〜とりあえず、『変態!』って僕に上から目線で罵倒して」
いやだキモチワルイ。いつもの沖田さんも怖いけど今日の沖田さんの恐さは特別だ。
「そっ、そんな事出来ません!」
「なんで?」
「気持ち悪いからです!」
「やってみてよ。じゃないと耳に息吹きかけるよ〜」
「ひー!(泣)」
こわいよー気持ち悪いよーなんで私がこんなっ・・・
沖田さんなんて・・・
沖田さんなんて・・・もう・・・
「この変態!!」
「!!」
その瞬間沖田さんがわらった。どこか熱を帯びたような目をして。そして気付く。
あれ?沖田さん、汗かいてる?・・・・
「はぁ・・・は、っ・・・千鶴ちゃん・・・それもう一回言って」
膝を床に付け、どこか悦んでいる沖田さんが居た。
沖田さんはスルッと私の足首を掴み罵倒してくれる事を催促する。
「ひいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃやあああああああああっっ!!!!」
ゲシっ!
私は思わず気持ち悪さと恐怖で沖田さんの手を蹴ってしまった。
「っつ・・・」
「あっごごごめんなさっ・・・」
どうしよう、どうしようあの沖田さんを蹴ってしまった!私殺されるんじゃ・・・
そんな心配もなく。さっきと同様に悦ばれた。
「・・・・千鶴ちゃんの白くて細い脚が僕の手を蹴った・・・・・・・ふふふっ」
うわーん!とうさまああああ!!!(泣)
だめだ 悦んでいる。沖田さんは本物の変態だ・・・
「私をもう解放してくださいぃ〜、ぐすっ」
「もうちょっと付き合ってよ。ね、千鶴ちゃん。今度は僕を踏んでみて」
「ふ、踏む!?」
「うん!できれば素足がいい。」
完全に変態化した沖田さんは何かに目覚めてしまった。
私が引き戻さなきゃ!!
とりあえず逆の事をしてみよう。
「・・・・〜っ沖田さん!」
「わっ!」
「わっ、わたしを・・・私をっ、お仕置きしてください!!」
捨て身覚悟で私はどうにか沖田さんを更生させたく抱き付き、逆の言葉を言い放った。でも今の沖田さんに通用するはずもなく、逆効果・・・・
「だからね、千鶴ちゃん。今僕は君に苛められたい気分なの!その言葉はまた今度の時に言って貰うから。まったく・・・察してよね〜」
拒絶された・・・・
かなり体を張ったのに・・・
しかも今の私が言い放った言葉は別の時に私を苛めるのに使われるらしい・・・・
もうどうでもよくなり沖田さんに聞いていみる。
「どうして欲しいんですか?」
「いいの?あのね、そうだな〜この下僕を踏みつけてよ。足を舐めさせて?」
・・・・・・あぁ、なんだかもうめんどくさくなりました
私は文机に座り脚を投げ出す。
「有り難き幸せ・・・・」
楽しそうに私に踏まれ、脚を舐める沖田さんはとてもいい笑顔だった。
「あっ、んンっっ・・・・」
ベロベロと私の脚を舐める舌の感触が全身にこだましてくる。気持ちよさとくすぐったさで私の脳内は沖田さんでいっぱい。
「はぁ・・・千鶴ちゃん・・・最高」
沖田さんを放置し、好き放題させた結果、最終的にはいつもと同じ私が組み敷かれた。
「あっ・・・んっ、ああっ!」
私が沖田さんを踏んでも、罵っても結局主導権は彼にあるのだ。
『晴れて仲良しカップルです』
あとがき
たまには沖田さんがMなのも・・・・
変態ネタは書いてて楽しい沖田さんだと私のやる気スイッチが入る。
次回は一君。
お題は「確かに恋だった」様から。